アジスロマイシン*1, クラリスロマイシン*2, ST合剤*4
百日咳は、百日咳菌による感染が原因で起こる急性の気道感染症です。
風邪症状から徐々に激しい咳が出るようになり、百日咳特有のけいれん性の咳発作が見られるようになります。
百日咳は、世界中で感染が報告されており、特に子どもの感染が多くを占めています。
1歳以下の乳児、特に生後6か月未満の乳児では重症化しやすく、亡くなってしまうこともあります。
2021年の日本における百日咳患者数(届出ガイドラインの診断基準を満たした百日咳患者数)は712例であり、最近では子どもだけでなく、大人の感染も報告されてきています。
・感染症科医師の診察により百日咳感染が疑われる職員は、抗菌薬治療を
PT-IgG抗体価が第9病日においても10 EU/mL未満であり, 百日咳IgMとIgA抗体価が上昇しなかったことは, 免疫発達の未熟性を反映するものと思われた。このような抗体産生の遅延を伴う低月齢乳児に対しては, 治療期間が長いエビデンスのある抗菌薬を選択することで, 除菌確率を上昇させるとともに再感染リスクを軽減できる可能性がある。
百日咳は, その毒素によって抗菌薬治療開始後も症状が持続あるいは重症化することがあり, その対策としてワクチンによる予防戦略が有効である。乳児百日咳を予防する手段として, 欧米では妊婦への百日せきワクチン接種が推奨されており, さらに同居家族など乳児に接する人に対するワクチン接種(コクーン戦略)も勧められている。本症例では, 母親と同居家族へのワクチン接種により, 児の発症を予防できた可能性がある。
第二種(出席停止期間:特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで).
本症例の症状再燃と菌再分離の原因が除菌不完全か再感染によるかは不明であるが, 低月齢乳児の百日咳ではガイドラインで推奨されているCAM投与期間の7日間では不十分である可能性がある。
四種混合ワクチンには、百日咳に対するワクチンが含まれています。生後3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、そして1歳時の合計4回、しっかりと予防接種を受けさせましょう。
百日咳は百日咳菌によって発症する急性の呼吸器感染症です。 ..
予防接種の普及で、重症の百日咳に苦しむ赤ちゃんが減ったのですが、百日咳に対する予防接種の効果は、5歳くらいになると下がってきてしまうことが問題となっています。
その結果、のです。日本全国で、年間400人くらいの生後3ヶ月未満の赤ちゃんが百日咳にかかっています()。
[PDF] 2024年4月第3週 中国のCOVID-19 感染状況と百日咳症例
百日咳菌の除菌には, マクロライド系抗菌薬投与5日間で十分とされており, 百日咳菌の培養検査が陰性化するまでのEM投与期間が平均3.6日間(範囲2~7日)であったという報告がある3)。また, EM14日間とCAM7日間の比較では, 両者の除菌効果は同等とされている4)。本症例はガイドラインに準じてCAMで治療したが, 症状の再燃と菌再分離を認めた。同様のCAM投与後再感染乳児例の報告もあり5), 低月齢乳児ではCAM投与期間が7日間では不十分なのかもしれない。
Pertussisは、ジュール・ボルデ (Jules Bordet) と オクターブ・ジャング (Octave Gengou) によって百日咳の症状を示す乳児の痰から分離され、1906年に報告されました。
好気性、オキシダーゼ、ウレアーゼ陽性で非運動性、新しく分離、培養する際には発見者の名前を冠したボルデ・ジャング培地(Bordet-Gengou medium:ポテト-血液-グリセリン寒天培地、BG培地)等を使用します。
発育はかなり遅く、35~37℃好気環境下で、周縁の丸いドーム状をした真珠様光沢のある特徴的なコロニーを認めるまでに3~4日を要します。
Pertussis toxin(PT:百日咳毒素)、Filamentous hemagglutinin(FHA:線維状血球凝集素)、Agglutinogens(凝集素:アグルチノーゲン2、3)、Adenylate cyclase(アデニル酸シクラーゼ)、Pertactin(パータクチン:69KD 外膜蛋白)、Tracheal cytotoxin(気管上皮細胞毒素)、Heat-labile toxin(HLT:易熱性皮膚壊死毒素)等の多彩な生物活性物質を産生し、またこれらが病原性を担っていると考えられています7), 8), 9)。
属は現在9菌種に分類されており10)、
○治療マクロライド系抗生物質(エリスロシン、クラリス、ジスロマックなど)が有効です。 ..
日本ではPT IgG抗体測定と同時に測定しているが、他国では使用されていない。百日咳ワクチン接種や百日咳菌以外のBordetella属やHaemophilus influenzae、Mycoplasma pneumoniae、Chlamydophila pneumoniaeといった菌でも陽性になる。
治療は、マクロライド系抗生剤(ジスロマック、クラリスロマイシン)を5日間服用することが原則です(ジスロマックは3日間)。
・抗体価が100EU/mL以上の場合は、単回でも百日咳の可能性が高い。ただし、乳児期早期の予防接種直後でも100EU/mL以上となることがある。
このように早期診断には不向きで、結果の解釈が悩ましいことも多いため、日常臨床での実用性はやや低い。
疫学的な視点から考える百日咳 神谷 元 先生 | 川村内科診療所様
・初回検査で弱~中等度陽性(10~99EU/mL)の場合は、ワクチン接種歴がなければ百日咳の可能性が高いと判断できるが、ワクチン接種歴がある場合や不明な場合はペア血清で確認を行い、2倍以上に上昇していれば百日咳と確定、上昇がなければ百日咳ではないと判定する(ペア血清の判定基準は定まったものはなく、日本では2倍以上を基準とすることが多いが、典型的には4倍以上となる)。
感染症流行予測調査では、5 年ごとに国民の百日咳の防御抗原(以下、PT、FHA)に
・初回検査で陰性の場合は、発症4週以内であればペア血清を行い、抗体価が10EU/mL以上に陽転化すれば百日咳の可能性が高く、陰性のままであれば百日咳ではないと判断する。発症4週以上で陰性の場合は、百日咳の可能性は低い。
[PDF] 表4 推奨される百日咳の年齢別治療および曝露後予防薬 (CDC)
日本小児呼吸器感染症診療ガイドライン[15]では、下記のような判定基準を推奨している。
学校保健安全法では、『特有の咳が消失するまで、または、5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで』と定められています。 百日咳の注意事項
百日咳毒素に対する抗体で、感染2週以降で陽性化する。百日咳ワクチン接種や母体からの移行抗体による偽陽性があり、判定は悩ましいことがある。また、単回の検査ではなくペア血清で判断が必要なこともある。ペア血清の理想的な検査のタイミングとしては、発症2週以内に初回採取し、その4週後に2回目の検査を行う。初回検査が遅れた場合は、すでに抗体価がピークとなっていることもある。
百日咳は,百日咳菌(Bordetella pertussis)が気道に感
遺伝子検査は、従来困難であった百日咳の早期診断を可能とした画期的な検査である。培養よりも感度が高く、抗菌薬の影響を受けにくい。リアルタイムPCRでは感度は約4割前後と限界はある。特異度は報告により様々で、偽陽性のリスクもある[13]。
百日咳やマイコプラズマの確定診断ならジスロマックを使用する。(50歳代病院 ..
培養の感度は低く、比較的陽性になりやすい乳児でも60%以下で、報告によっては10%前後である[12、13]。特に発症2週以上を過ぎると検出できることはまれである。予防接種歴がある場合や、抗菌薬投与によっても感度は低下する。また、陽性になるまで5~7日間かかる。百日咳菌の肺炎発症時などで、まれに喀痰のグラム染色や培養で検出できることがある(図2)。
1か月未満, 10mg/kg/day・5日間, 推奨しない, 2か月以内は禁忌
まず検体は、鼻咽頭スワブや、鼻を生理食塩水で洗浄し、吸引したものから、鼻咽頭粘液を採取する。スワブの場合、通常の綿棒は不飽和脂肪酸を含み百日咳菌の発育を抑制するため、レーヨン性の専用の綿棒(コレクトスワブRアルミ軸 ® 、栄研化学)を用いる。また、百日咳の培養にはBG(Bordet-Gengou)培地やRegan-Lowe charcoal培地、CSM(cyclodextrin solid medium)培地などの選択培地が必要となるため、微生物検査室に百日咳を疑っていることを伝える必要がある。
新生児の場合は、アジスロマイシン10〜12mg/kgを1日1回、5日間経口投与されます。
急性咳嗽(3週以内)や遷延性咳嗽(3~8週)をきたす疾患が鑑別となり、マイコプラズマなど非定型肺炎や結核、感染後咳嗽、咳喘息など多岐にわたる。発熱が乏しいことや乾性咳嗽であること、肺炎はまれであること、咳が発症時から増悪傾向であること(特に発作性・連続性)が、百日咳を疑うきっかけとなる。症状や経過に合わせて適切な検査を進める。
適切な抗生剤内服で菌排出は5~7日後にほぼ陰性となります。 ..
予防接種歴がある場合には典型的な強い咳嗽発作は出にくく、非特異的な咳嗽が長く続く以外に症状に乏しいことが多い。前述の2007年の日本でのアウトブレイクでは、予防接種歴がある場合の発作性咳嗽の頻度は約60%であった。
クラリスロマイシンは7日間、アジスロマイシンは3日間、エリスロマイシンは14日間服用が必要です。
乳児、特に生後3か月以内は重症化のリスクが高い。この時期の小児では典型的な咳嗽所見がないことが多く、無呼吸発作が主体となることもあり注意が必要である。入院が必要となる乳児では、無呼吸 61%、肺炎 23%、痙攣 1%、脳症 0.1%といった合併症を認める。1%で死亡に至る[10]。
1.気道感染予防の隔離は、有効な抗菌薬治療後少なくとも 5 日間おこない、有効な抗菌薬治療を適時に
小児では、咳き込み後の嘔吐の感度は成人よりも高く、特異度は低い。百日咳に限らず小児は成人よりも咳嗽に伴う嘔吐を起こしやすいことからも、小児ではあまり鑑別には有用ではないのだろう。
再排菌を防ぐために14日間投与が望ましい。 新しいマクロライド製剤で
この時期になると、連続性の咳(paroxysmal cough, staccato)、吸気性笛声(whooping cough)、咳込み後の嘔吐といった典型的な百日咳の症状が出現する。インターネットの動画サイトで、いくつか実際の所見を視聴することができる。乳児や予防接種歴のある患者では、典型的な症状が出にくい。2017年のシステマティック・レビューでは、吸気性笛声は特異度が高く、発作性咳嗽は感度が高いという結果であったが、いずれも陽性尤度比(LR+)、陰性尤度比(LR−)は十分な値ではなかった(表2)[11]。当然ではあるが、やはり単一の臨床症状だけでの診断は難しい。医師が総合的な判断で臨床的に百日咳を疑う場合、感度はさほど高くはないが、特異度やLR+は比較的高いという興味深い結果もあった。