①デキサメタゾン(経口剤)(下垂体抑制試験の効能・効果を有する製剤 ..


2016 年 9 月~2021 年 2 月に,計画されたサンプル数 420 例のところ,252 例が組み入れられ,127 例がデキサメタゾン群,125 例が手術群に割り付けられた.患者の平均年齢は 74 歳であり,77%が男性であった.デキサメタゾン群で安全性と転帰に懸念が生じたため,データ安全性モニタリング委員会により試験は早期に中止された.デキサメタゾン群の 3 ヵ月の時点での修正ランキンスケールスコアが手術群よりも低い(良好である)ことの補正共通オッズ比は 0.55(95%信頼区間 0.34~0.90)であり,デキサメタゾンの非劣性は示されなかった.MGS スコアと GOSE スコアは,おおむね主要解析の結果を支持した.合併症はデキサメタゾン群の患者の 59%と手術群の患者の 32%に発生し,追加手術はそれぞれ 55%と 6%に行われた.


術後の悪心・嘔吐(PONV)は、最も頻度の高い術後合併症で、患者の30%以上にみられる。 ..

大腸および小腸の手術では、麻酔導入時にデキサメタゾン8mgの静脈内投与を追加すると、標準治療単独に比べ術後24間以内の悪心・嘔吐が抑制され、72時間までの制吐薬レスキュー投与の必要性が低減することが、英国・オックスフォード大学のReena Ravikumar氏らが実施したDREAMS試験で示された。デキサメタゾン追加による有害事象の増加は認めなかったという。研究の成果は、BMJ誌2017年4月18日号に掲載された。術後の悪心・嘔吐(PONV)は、最も頻度の高い術後合併症で、患者の30%以上にみられる。腸管の手術を受けた患者では、PONVは回復を遅らせることが多く、術後の栄養障害を引き起こす可能性もあるため、とくに重要とされる。デキサメタゾンは、低~中リスクの手術を受ける患者でPONVの予防に有効であることが示されているが、腸管手術を受ける患者での効果は知られていなかった。

本研究は、英国の45施設が参加したプラグマティックな二重盲検無作為化対照比較であり、2011年7月~2014年1月に1,350例が登録された(英国国立健康研究所・患者ベネフィット研究[NIHR RfPB]などの助成による)。

対象は、年齢≧18歳、病理学的に悪性または良性の病変に対し、開腹または腹腔鏡による待機的腸管手術を施行される患者であった。

すべての患者が全身麻酔を受け、麻酔科医が決定した標準治療として術前に制吐薬(デキサメタゾンを除く)が投与された。デキサメタゾン群は術前にデキサメタゾン8mgの静脈内投与を受け、対照群には標準治療以外の治療は行われなかった。

主要評価項目は、24時間以内に患者または医師によって報告された嘔吐とした。副次評価項目は、術後24時間以内、25~72時間、73~120時間の嘔吐および制吐薬の使用、有害事象などであった。

デキサメタゾン追加群に674例、標準治療単独群には676例が割り付けられた。全体の平均年齢は63.5(SD 13.4)歳、女性が42.0%であった。腹腔鏡手術は63.4%で行われた。直腸切除術が42.4%、右結腸切除術が22.4%、左/S状結腸切除術が16.4%であった。

24時間以内の嘔吐の発現率は、デキサメタゾン群が25.5%(172例)と、標準治療群の33.0%(223例)に比べ有意に低かった(リスク比[RR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.92、p=0.003)。1例で24時間以内の嘔吐を回避するのに要する術前デキサメタゾン投与による治療必要数(NNT)は13例(95%CI:5~22)だった。

24時間以内に制吐薬の必要時(on demand)投与を受けた患者は、デキサメタゾン群が39.3%(265例)であり、標準治療群の51.9%(351例)よりも有意に少なかった(RR:0.76、95%CI:0.67~0.85、p<0.001)。また、術前デキサメタゾン投与のNNTは8例(95%CI:5~11)だった。

25~72時間の嘔吐の発現に有意な差はなかった(33.7 vs.37.6%、p=0.14)が、制吐薬の必要時投与はデキサメタゾン群が有意に少なかった(52.4 vs.62.9%、p<0.001)。73~120時間については、嘔吐、制吐薬の必要時投与はいずれも両群間に有意差を認めなかった。

死亡率は、デキサメタゾン群1.9%(13例)、標準治療群は2.5%(17例)と有意な差はなく、両群8例ずつが術後30日以内に死亡した。有害事象の発現にも有意差はなかった。30日以内の感染症エピソードが、それぞれ10.2%(69例)、9.9%(67例)に認められた。

著者は、「PONVの現行ガイドラインは、おそらく過度に複雑であるため広範には用いられていない。今回の結果は、腸管手術を受ける患者におけるPONVの抑制に簡便な解決策をもたらす」としている。

人工心肺装置(CPB)を使用する心臓手術を受けた生後12ヵ月以下の乳児において、術中のデキサメタゾン投与はプラセボと比較して、30日以内の重度合併症や死亡のリスクを低減しないことが、ロシア・E. N. Meshalkin国立医療研究センターのVladimir Lomivorotov氏らが実施した「DECISION試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年6月23日号に掲載された。米国のデータでは、1998年以降、CPBを伴う心臓手術を受けた先天性心疾患小児の死亡率は約3%まで低下しているが、重度合併症の発生率は30~40%と、高率のままとされる。CPBによって引き起こされる全身性の炎症反応が臓器機能を低下させ、長期の集中治療室(ICU)入室や、入院の長期化をもたらすことが知られている。この全身性炎症反応や合併症の低減を目的に、コルチコステロイドが広く用いられているが、その臨床的有効性は確実ではないという。

本研究は、小児の心臓手術における、術中デキサメタゾン投与による重度合併症や死亡の抑制効果を評価する医師主導の二重盲検無作為化試験であり、3ヵ国(中国、ブラジル、ロシア)の4施設の参加の下、2015年12月~2018年10月の期間に患者登録が行われた(各参加施設の研究助成のみで実施)。

対象は、生後12ヵ月以下で、CPBを伴う待機的心臓手術が予定されている患児であった。これらの患児は、麻酔導入後にデキサメタゾン(1mg/kg)またはプラセボ(0.9%塩化ナトリウム水溶液)の静脈内投与を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

主要エンドポイントは、術後30日以内の死亡、非致死的心筋梗塞、体外式膜型人工肺の必要性、心肺蘇生法の必要性、急性腎障害、長期の機械的換気、神経学的合併症の複合とした。副次エンドポイントは、主要エンドポイントの個々の構成要素のほか、機械的換気の期間、変力指標、ICU入室期間、ICU再入室、入院期間など17項目であった。

小児患者394例(月齢中央値6ヵ月、男児47.2%)が登録され、全例が試験を完遂した。デキサメタゾン群に194例、プラセボ群には200例が割り付けられた。CPB時間中央値は、デキサメタゾン群が50分、プラセボ群は46分だった。

主要複合エンドポイントの発生は、デキサメタゾン群が74例(38.1%)、プラセボ群は91例(45.5%)であり、両群間に有意な差は認められなかった(絶対リスク減少:7.4%、95%信頼区間[CI]:-0.8~15.3、ハザード比[HR]:0.82、95%CI:0.60~1.10、p=0.20)。事前に規定されたすべてのサブグループで、両群間に治療効果の差はみられなかった。

主要エンドポイントの個々の構成要素を含む副次エンドポイントのすべてで、両群間に有意差はなかった。デキサメタゾン群で2例(1.0%)、プラセボ群で4例(2.0%)の小児患者が死亡した。急性腎障害はそれぞれ10例(5.1%)および14例(7.0%)で発生し、長時間の換気(24時間以上)は70例(36.1%)および84例(42.0%)で認められ、神経学的イベントは6例(3.1%)および13例(6.5%)で発現した。

感染症は、デキサメタゾン群が4例(2.0%)、プラセボ群は3例(1.5%)で発生した。デキサメタゾン群の3例で肺炎、1例で縦隔炎がみられ、プラセボ群の2例で肺炎(1例は創感染を伴う)、1例で深部胸骨感染が発生した。敗血症は認めなかった。

著者は、「本試験は、治療効果を過大評価している可能性があり、主要エンドポイントの群間差の95%CIの範囲内に、臨床的に意義のある最小変化量(15%)が含まれていることから、検出力が十分でない可能性がある」としている。

脊髄圧迫症状を合併した患者に対するデキサメタゾン大量療法の有効性や副作用についてレ卜口スペクティブに検討し, 報告した

倦怠感、食思不振の原因となっている病態を除外してください。
・貧血
・感染症
・高カルシウム血症
・低ナトリウム血症
・黄疸・肝障害
・口腔内カンジダ症・口内炎(口腔チームに依頼してください)
・脳転移など
が見逃されやすいが治療しうる病態です。

味覚障害があれば、ビタミンB群、亜鉛補給も行ってください。

化学療法のdelayed emasisが疑われる場合は、標準的な制吐対策をしてください。
対症療法としては以下のものがあります。

予測される予後が1~2か月と限られていて、長期使用による副作用を許容できるときはステロイドが選択肢となります。

[PDF] COVID-19中等症Ⅱに対するレムデシビル,デキサメタゾン

60%以上の患者で有意な食欲増加作用がありますが、効果はで2~6週間しか持続しません。

1カ月以上の投与になる場合、消化性潰瘍、血糖異常、ムーンフェイス、精神症状(不眠、せん妄、抑うつ)、カンジダ性口内炎、結核などのステロイドによる合併症を生じるリスクは上がるので、利益が不利益を上回ると評価される場合、選択できる方法と考えられます。

多施設共同非盲検比較非劣性試験で,症候性慢性硬膜下血腫患者を,デキサメタゾンを 19 日間漸減投与する群と,穿頭ドレナージを行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無作為化後 3 ヵ月の時点での機能転帰とし,修正ランキンスケールスコア(0 [症状なし]~6 [死亡])で評価した.非劣性は,デキサメタゾン群の機能転帰が,手術群よりも良好であることのオッズ比の 95%信頼区間下限が 0.9 以上であることと定義した.副次的エンドポイントは,慢性硬膜下血腫の症状の重症度に関するマークウォルダー評価尺度(MGS)スコア,拡張グラスゴー転帰尺度(GOSE)スコアなどとした.

キーワード:新型コロナウイルス感染症,レムデシビル,デキサメタゾン,バリシチニブ.

2013年に、倦怠感を主要評価項目としたステロイドの比較試験の結果が発表されました。
進行がん患者84名に対して、デキサメタゾン8mgとプラセボを14日間内服する比較試験が行われ、デキサメタゾン群では15日目の倦怠感の尺度が有意に改善しました。

副腎ステロイドは選択できないが、蛋白同化ステロイドは選択できるとき、理論上はヒスロンという選択肢があります。日本では、ヒスロンHは保険適応が乳がん・子宮がんなど特殊なことと、致命的な血栓症の副作用がありますので、実際は一般的ではありません。


また、腎臓や心臓の合併症も知られていますので、手術に臨む準備として ..

ステロイドが選択できない、精神症状のリスクが少ないときに選択されます。

★倦怠感や眠気が強い時(処方できる医師は限定されています。緩和ケアチームに依頼してください。)

リタリンが処方できない状態にあり、ベタナミンはその代替薬です。

リタリンは、倦怠感と、オピオイド投与中の患者の眠気を改善するある程度の根拠がありますが、「食欲亢進作用」はしめされていません。全身倦怠感がより優勢な病像の時には選択になりうる程度です。10%前後で過覚醒症状(不安、不眠、不穏)を生じます。若年者で全身状態が良ければ問題はないですが、高齢者、肝不全などではではリスク高くなります。動悸・不整脈リスクがあります。経験的には、「相性の良い人には良い、まずくすると不穏になる」薬剤です。

ベタナミンについて詳細なデータはありません。

また、ACTH分泌亢進症では、コルチゾール過剰により感染症や心血管合併症を含めた合併症の増加により生命予後不良である。 ..

糖質コルチコイド(Glucocorticoid、グルココルチコイド)の薬は炎症や自己免疫疾患を治療するため広く処方されており、最近ではCOVID-19(SARSコロナウイルス2型感染症)の重症患者の治療にも用いられている。COVID-19は、発熱や息切れなどの症状から、多臓器不全などの重い合併症への急速に進行する。重症患者は「サイトカインストーム」(cytokine storm)を経験するが、このときにはもはやコロナウイルスに対する炎症反応を抑えることはできず、サイトカイン(炎症の分子メッセンジャー)の異常な産生がさらなる合併症を引き起こしてしまう。臨床試験では、糖質コルチコイド受容体に結合する強力な抗炎症薬であるデキサメタゾン(dexamethasone)を低用量で投与することにより、COVID-19入院患者の死亡率が低下したことが示されている。

*デキサメタゾン:75歳以下の場合、合併症・PSにより減量を考慮

糖質コルチコイドは、(estrogen receptor)とともに核内受容体の仲間(ファミリー)に属している。これはリガンド結合ドメイン(ligand-binding domain)、DNA結合ドメイン(DNA-binding domain)、トランス活性化ドメイン(transactivation domain)という3つの部分で構成されている。ヒトの場合、この受容体のリガンドとして最もよくあるのがストレスホルモンの一つコルチゾール(cortisol)である。受容体がコルチゾールに結合すると、受容体の構造が変化し細胞質から核へと移動する。核内では、標的DNA配列に結合し遺伝子発現に影響を与えることができる。糖質コルチコイド受容体は活性化補助因子(coactivator)とも相互作用し、遺伝子発現のしくみをさらに調整することができる。受容体は柔軟なリンカーでつながれたいくつかのドメインで構成されているので、ドメインの構造は別々に決定された。デキサメタゾンに結合したリガンド結合ドメインの構造はPDBエントリー、DNAに結合したDNA結合ドメインの構造はPDBエントリーのものを示す。トランス活性化ドメインはここに示していない。これらのドメインがすべて一緒になり、コルチゾールの結合によって引き起こされる最初のメッセージが伝達される。

[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け

薬であるデキサメタゾンの構造は天然のコルチゾールの構造と非常によく似ている。このことにより、デキサメタゾンは糖質コルチコイド受容体にぴったりと結合し、同じように体内の炎症を解消する遺伝子発現の変化を引き起こす。この活性のため、デキサメタゾンはCOVID-19の治療において特に効果的である。なぜなら、コロナウイルスによる損傷はウイルス自体によるものだけではなく、制御できない炎症によるものでもあるからである。ところが、デキサメタゾンの抗炎症効果は、使い方や時期を誤ると害をおよぼしかねない。COVID-19の初期段階において、身体はウイルスを撃退するために免疫系を動員する必要があるので、初期の重症ではない患者にデキサメタゾンを使うと、うかつにも患者の状態を悪化させてしまうかもしれない。

[PPT] デキサメタゾン静脈内投与の鎮痛効果 帝王切開後疼痛に対する

(serum albumin)は血漿の中で最も豊富に見られるタンパク質だが、デキサメタゾンも他の薬やホルモンと同様にこの血清アルブミンによって身体全体に運ばれる。ところがこのタンパク質に関する因子のため、COVID-19に関連する炎症を治療するときに安全で効果的となるようデキサメタゾンを投与するのは難しい。例えば、糖尿病の患者では、タンパク質中の重要なアミノ酸に対して糖化(glycation)の過程を経て糖分子が結合していることがよくある。こうなると薬のタンパク質への結合が妨げられことがある。イブプロフェン(ibuprofen)のような一般的鎮痛剤なども血清アルブミン上にある同じ結合部位を使い競合するので、同時に服用するとデキサメタゾンの輸送が妨げられる。さらに、肝臓病、栄養失調、高齢などのCOVID-19の危険因子に加え、ウイルス自身も患者の血清アルブミン濃度を下げることがある。この複雑な事情により、内科医が血中におけるデキサメタゾンの遊離:結合の相対比を見積もり、薬の毒性増加、副作用、薬効の低下を招く可能性について判断するのは難しくなっている。