8号機 on X: 日テレにしたらF-14がプガチョフコブラやってた / X


カンのいい方は気づいたかと思いますが、原作でマーヴェリック・グース機が墜落したのも、戦闘中の高スロットル時にジェット後流で片方のエンジンがいきなり停止し、フラットスピンに入ったからです。

駆け出しマーヴェリックはフラットスピンを回復させることができず、上に書いた通り一基ずつ順番にエンジンが停止、回復不能に陥り、フリスビーのように回転しながら墜落してしまいます。

トップガンマーヴェリックでは、これらを乗り越えて神がかったパイロットとなっているマーヴェリックにより、敵が予想しえない(普通のF-14乗りはやらない。しかも今回の敵は元々F-14乗りなので、なおさらそう思い込んでいる。)トリッキー機動をかましているわけですが・・・いやマジでマーヴェリック凄すぎます。

しかも、さりげなく原作の伏線&エッセンスになってるんですよね。そりゃタイタニックの興行収入超えるわ。

ほんでもう一つ、原作のジェット後流について。

これは後方乱気流と言われるもので、航空機の後方に発生します。大まかに言えばジェットエンジン排気と、翼端渦によるもの。

航空機は、簡単に言うと翼の上下面を流れる気流の速度差により翼上面に負圧を作り、それに吸い上げられる力(揚力)により飛んでいます。

このため、翼の端っこ付近の下面側空気は負圧になっている上面に流れ込んでいきます。これが翼端渦。

翼端渦は左右の翼から発生し、ジェット排気と共に内側に渦巻く気流=後方乱気流を機体後方に残します。これに巻き込まれると、航空機は失速したりジェットエンジンがサージングを起こして停止してしまいます。

空港において、連続離着陸は必ずある程度の時間をおいて行われますが、あれは後方乱気流が収まるのを待っているのです。

原作においてマーヴェリックは後方近距離で強引な操作をしたため、この後方乱気流に巻き込まれました。

もちろん、マーヴェリックも天才的パイロットですから後方乱気流の存在は知っているはずで、注意もしていたはずですが、戦闘機動中は予想しえない位置にそれが発生したりするので、予期せず巻き込まれたわけですね。


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だいぶ時間が経ちましたが、原作同時上映を観てふと気づいた点があったので追加解説です。

トップガンマーヴェリックにて、F-14をかっぱらった後、5世代機との戦闘時にマーヴェリックが「スプリットスロットル!」といって水平方向に回転する急旋回を行います。

これ、できないことはないですが、かなりリスキーな機動です。

というのも、F-14はエンジン2基が機体中心線から離れて設置され、薄い胴体かつ重量級であるため、片方のエンジンだけを吹かすもしくは片方が停止してしまうと、「フラットスピン」といって水平方向にフリスビーのように回転する、回復不能の状態に陥りやすいのです。

あなたが車で高速道路を運転中、急に片側の前・後輪がバーストするようなものです。

しかも航空機の場合は何倍もの速度かつ接地していないので、ものすごい回転モーメントが抑えなく加わります。

この特性によりF-14は、何かしらの異常や被弾により急に片方が停止した場合など(とくに戦闘中でスロットルが最大に近い場合)フラットスピンに陥り、墜落に至る場合があります。

しかも、このフラットスピンは物理法則上、横転のモーメントも発生してきます。こうなるともはや墜落しかありません。

このフラットスピンに至らないようにするには、水平回転モーメントを打ち消す力を加えてやる、つまり停止もしくは絞ったエンジンと反対側に強烈なラダー操作(航空機を水平横方向に動かす舵の操作。フットペダルにより行う。)を最適なタイミングと力加減でかます必要があるのです。

しかも、この時は先述の通り横転モーメントも加わってくるので、並みのパイロットだと条件反射により操縦桿操作(右エルロン=右横転操作)でこれを抑えたくなるのですが、それをすると状態が悪化します。これをせずに的確なラダーだけで制するのです。

これだけでも難しいんですが、さらに難しいポイントがあるのです。

F-14のエンジンはTF40という機種ですが、こいつがまたジャジャ馬であり繊細な扱いが必要な上に、F-14は吸気口付近の機体構造により吸入空気が乱れやすく、この最悪のコンボが起こるとジャジャ馬は「サージング」という現象(エンジン内の空気の逆流)により簡単に停止してしまいます。

つまり、カウンター操作が少しでもずれると、生きている側のエンジンすら停まってしまうのです。

一部間違いがあったので修正します。
ホールドバックバーについて、破断するタイプのテンションバーを使っていたのは以前の話で、現在は再使用可能なものが使用されてるようです。
以下に示します。

ホールドバックバーの太くなっている部分の中で、航空機側の接続部とつながっています。

この太くなっている部分は、航空機側の接続部を外から覆うような形になっており、この押さえ込みにて航空機を固定しています。

射出のため力がかかると、中のバー部分がバネのように伸びて来て、太くなっている部分から出てきます。そうすると、押さえ込みが外れるので、航空機との接続が解かれ、発艦していきます。
このテンションバーは、規定の力がかかったら外れるように設計されており、その力はカタパルト圧力と機体の推進力がMAXになった時点で切れる数値になっています。ですので、機種ごとに違う規定値のテンションバーがあり、それをホールドバックバーに組み付けています。また、それが一目で識別できるよう、テンションバーを覆うカバーが色分けされています。

わかりやすい動画(YouTube)「Catapult Launch - The Story Behind Holdback」

他のF-14と違いコブラが可能。 アイドル状態から最高速到達までの ..

追加15

一緒に行った友人に「なんでいちいち機体を回して、機体の上面方向に対して旋回するの?山越えとか急降下ならそのまま下に向かった方が早くない?」と聞かれました。

まあ理由いろいろあるんですが、飛行機は機体を傾け、機体上面方向に旋回するようにできてるんです。
まず、機体の制限Gは、プラスG(機首上げ)よりもマイナスG(機首下げ)のほうが許容値が低いです。これは機体構造がそもそもプラスG旋回を前提に作られているためです。
んで、人間はマイナスGに弱いというのもあります。フリーフォールの何倍ものフワッと感、考えただけでも嫌でしょう?
そして、パイロットはGに耐えるため「Gスーツ」を着ているのですが、これはGのかかり具合に合わせて、スーツ内に仕込まれた気室に空気を送って膨らませ、身体を締めあげて頭から血が下りてこないようにするという仕組みで、マイナスG(頭に血が上る)には対応してません。

次に、射出座席での脱出。
気づいた方もいるかもしれませんが、前作含めF14は「高度がないと脱出できない」という演出になっていますよね。それに対しF18のフェニックス&ボブはかなりの低空で脱出して、生還しました。

これはご都合主義ではなく、事実通りです。
旧世代の射出座席は、パラシュート等の性能により、ある程度の高度や速度がないと性能を発揮できませんでした(生還できない)。
だから、前作では「高度が落ちてるから早く脱出しないと!」という状況になっていて、今作でもマーヴェリックが「高度が必要だ」と急上昇をかけます。
しかし、現在の射出座席は改良されて「ゼロ・ゼロ座席」と通称されるものになっていて、高度ゼロ、速度ゼロで射出しても生還できるようになっています。

以前、航空自衛隊の古い練習機「T-33」がエンジントラブルで墜落する「T-33A入間川墜落事故」がありましたが、このときパイロットは二次被害を出さないよう、確実に入間川に落とすため最後まで操縦を続け、ギリギリで脱出。旧世代射出座席だったために、パラシュートが開ききらず殉職しています。パイロットはそのへんも理解してますから、どちらにせよ殉職することがわかっていたはずですが、あえて脱出したのは、座席が整備不良でなかったことを証明するため=整備員を想っての行動と言われています。
これが新しい射出座席だったら生還していたはずです。

追加14

特殊作戦続き4

前に言ったとおり、本来のヘルメットバイザーは5世代機のようにサングラスのようになっており、顔は見えません。
最近のTVでSexy Zoneの菊池風磨がF15に乗った際はバイザーを上げているか、透明のバイザーを使ってますが、あれをやると目が紫外線にやられる(上空の紫外線は地上より強い)ので、短期の取材など限定の措置ですね。

で、5世代機との戦いですが、前に1世代違うと大人と子供ほどの差があるといいました。
しかし、あれは遠距離・接敵前の話であり、あの距離で戦闘に入ったならば、まさに「最後はパイロットの腕」で、互角かそれ以上に戦えます。
F14は現代でも通用する機動性を備えており、劇中のようなコブラ機動(厳密にはコブラ機動じゃないんですが難しい話になるので割愛)も可能です。
F14は平べったい胴体が特徴ですが、あの胴体からも揚力(飛ぶ力)を発生させるため、高機動が可能なのです。
また、胴体は同時にストレーキ(F18の翼から操縦席にかけて胴体に沿って伸びている、細長く平べったい部分)の役割も果たしています。これも機動を行う際に揚力を増す設計です。

ただ実は、敵の5世代機にはIRSTという赤外線センサー(操縦席の前にポコッと飛びだしてる丸っこいやつ)がついてるんで、低空に逃げられてレーダーを攪乱されてもミサイル撃てちゃうんですよね。この辺はいい意味のご都合主義ですね。

ほいで、5世代機の横方向にクルクル回るアレや、クイッと小旋回する機動。あれも実は可能なんですよ・・・。
Su57は推力偏向ノズルというものを装備していて、ジェット排気を360度任意の方向に噴射できるので、ああいうことが可能なんです。ロシア戦闘機はこの推力偏向ノズルが十八番で、Su35等の4.5世代機でもできます。
これも嘘だと思うならYouTubeで「トップガンのような飛行は朝飯前!本物のロシア戦闘機のヤバい飛行 20選」をご覧あれ。

【質問】トップガンマーヴェリックのコブラ機動はF-15でできる? ..

追加13

特殊作戦続き3

F14離陸後、ルースターが骨董品と格闘します。
サーキットブレーカーの数に驚いてますが、サーキットブレーカーとは、家庭にあるブレーカーと基本的に一緒で、航空機の場合は多数の電装品や装備品があり、その一つ一つにブレーカーがあります。
ドラマや映画などでもよく出る、旅客機やヘリの操縦席の頭上にある多数のスイッチはほとんどがサーキットブレーカーです。
F18の場合、単座が基本なので、サーキットブレーカーもパイロットが操作しますが、最近の機体はある程度ブレーカーや装備品自体が集約化されているため、数としてはあの半分以下しかありません。だから最近の機体しか知らないルースターは驚いてるわけですね。
それに対し、F14は後席に乗っているRIO(「リオ」。レーダー迎撃士官)がそのへんの操作を行います。なので、マーヴェリックもどのスイッチを操作すればいいか程度の知識はパイロットとして知っていますが、スイッチの詳しい位置は知らないのです。
なお、RIOはパイロットではなく航法・武器システム専門家で、後席には操縦装置はありません。なので、前作のグースはよく見るとパイロットと違う徽章(フライトオフィサー)をつけてます。

これは、今作のボブとファンボーイも一緒(徽章の種類とパイロットではないこと)です。
また、ボブとファンボーイはWSO(「ウィゾ」。兵装システム士官)という役職で、F14のRIOとやってることは似てますが厳密には違います。
なお、ファンボーイは陽キャに見えますが、TACネームの「FAN BOY」とはオタクという意味であり、実はキャラ属性としてはボブと一緒なんですよね。

で、敵の5世代機に見つかった後のハンドサインですが、マーヴェリックは「おはようさん。通信機器がいかれちまったが、特に問題はないんやで。」といった意味のものを送っており、相手は「ほんじゃあ、3機で合同して敵をシバきに行くんやで。」といった意味のものを送ってます。
劇中のような戦術にかかわるサインは各国独自のため通じず、相手も疑問を持ったといいうわけです。

追加12

特殊作戦続き2

ミッションインポッシブル開始。
F14をかっぱらうわけですが、まあやってることはトンデモなものの、必要な準備が済んだ状態の戦闘機が置いてあったなら、あの通りかっぱらうことが可能です。

始動の前、マーヴェリックが機械を起動しますが、あれは起動機といい、圧縮空気を作るためのものです。
ジェットエンジンは羽根車を何段にも重ねて・・・とお話しましたが、始動するには圧縮空気を送って羽根車を回し、燃焼室の空気を圧縮せねばなりません。
新しい世代の戦闘機(F18など)には、JFSと言って小型の補助ジェットエンジンが搭載されているので、これを起動(小さいので、機体に積まれた圧縮空気ボンベにより始動できる)し、圧縮空気を送ってメインエンジンを始動します。
しかし、F14はJFSがついていないので、ああいう支援装置により圧縮空気を送らないといけないのです。
片方のエンジンを始動後、ルースターが圧縮空気ホースを抜きますが、あれは反対のエンジンに付け替えるためです。

もう片方始動後、またホースを抜いて、さらに赤い札がついたピンを抜いてます。
あのピンはセーフティーピンといい、安全装置です。地上で作動したら困る武装などに取り付けられていて、これを抜くことで安全装置が解除されます。
赤い札には「RIMOVE BEFORE FLIGHT(飛ぶ前に抜け)」と書いてあります。よく空港のお土産にあるキーホルダーのアレです。

移動しながら、マーヴェリックが「キャノピー!」と言いますが「キャノピー(窓)閉めるから安全(挟み込みしないか)確認しろ」という意味です。ルースターは「クリア」で返しますが、そのまんま「ヨシ!」という意味。

その後、誘導路から無理やり飛び立ちますがw
翼を前進させるのは、離陸滑走距離を短くするためです。
F14は可変翼という形式の翼を採用しており、翼を可変させてその時に応じた適切な飛行性能を発揮できるようになっているのです。
基本的には、前進するほど低速での性能が良くなり、逆に後退すると高速での性能が良くなります。
通常は全自動制御になっており、高度計や速度計のデータをもとにコンピュータが管制しています。
が、いざというときのためにマニュアルモードもあり、マーヴェリックはそれを使っているのです(だから、誤操作防止の赤いフタをあけて操作している)。

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追加11

特殊作戦つづき

敵の地対空ミサイルはS-125(SA-3「ゴア」)といい、骨董品レベルの旧ソ連製地対空ミサイルです。
しかし、骨董品とは言いつつも、兵器の世界では「枯れた技術」が盤石であるという考え方もあり、今でも一部通用するところはあります。
アナログであることから魔改造できるため、現実に改造を行ってステルス機を捕捉撃墜した実績もあるミサイルです。
んで、現実には捕捉レーダー、追尾レーダー、管制システム等多数のユニットが必要なんですが、まあその辺はいい意味のご都合主義でカットされてます。加えて、このミサイルは75°の限定された角度で発射するのが本来のところなんですが、映画では直接F18に向いてますね。これもいい意味の演出だと思います。

んでもって、あんなに多数を回避できるわけないやんwという意見もありますが、旧式で妨害に弱いんで意外とあの通りいけなくもないです。
回避の時にF18が「フレア」(囮熱源)を散布して回避してます。これは現実にもあるものですが、フレアは熱源(赤外線)誘導ミサイルに対する囮であり、S-125はレーダー誘導なので、フレア撒いても効きませんw
リアルに描くなら「チャフ」(対レーダー囮)を撒くべきなんですが、チャフは簡単に言えばアルミ箔の紙吹雪みたいなものなんで、絵面的にインパクトがないってことで、フレアにしたんでしょうね。
これもいい選択だったと思いますよ。
これに文句言うミリオタは10年くらいROMっててくださいw

マーヴェリック撃墜後は敵も撃ってこなくなります(助けに来たルースターを除く)が、あれはダガーが高度を下げたからです。
S-125のような初期のミサイルは、撃ち下ろしたり、低空の目標を狙うということが極端に苦手なので、理にかなった描写で、ご都合主義ではありません。
ルースターは山の稜線より上を、余裕ぶっこいて飛んでたので墜されたわけで、これもリアルな描写です。

なお、マーヴェリックを捜しに来た敵ヘリはMi24という実在の旧ソ連製戦闘ヘリです。あのいかにも悪役な外見がいい味出してます。

追加10

いよいよ特殊作戦シーン

ダガー編隊(任務時には編隊にもコールサインがつけられ、その間はパイロットのコールサインは使わず、編隊コールサイン+番号等で個々を識別する。ダガーとは短剣のこと)が発艦、高度を下げると「レーダー覆域からロスト」というセリフがありますが、あれは母艦のレーダーから消えたという意味。地球は丸いので、遠距離で高度を下げると捕捉できなくなります。

そこで出てくるのがE2早期警戒機(コールサイン=コマンチ)。
これは空飛ぶレーダーサイト兼管制塔のようなもの。背中に円盤をしょっていますが、あれがレーダーになります。
とはいっても、円盤そのものがレーダーというわけではなく、円盤の外形は抵抗を少なくするための覆い(ロートドームという)。
レーダーは横(水平)方向を向いて円盤の中に取り付けられていて、円盤ごとグルグル回転させることで全周を捜索しています。

母艦がシステムを切り替えると、再度ダガー編隊が画面に映りますが、あれはコマンチとデータリンクで接続したためです。
実際の作戦でもあのようにデータリンクで各部隊をつなぎ、指揮所から見えない範囲の状況を把握しつつ指揮ができるようになっています。

ダガーが侵入を開始した後、敵編隊を探知します。そこでウォーロックのセリフが「哨戒機か」という訳になってますが、正確には「戦闘空中哨戒か」と言っています。
戦闘空中哨戒は通称「CAP」といい、重要な拠点を防衛する場合や敵の侵攻可能性が高い場合に、戦闘機を空中で哨戒(パトロール)待機させ、敵が来たら速やかに差し向ける、というものです。
これにより、基地から飛び立つタイムラグをなくすことができるんですが、これが敵の運に味方し、奇襲を免れるという結果になりました。
コマンチによる探知が遅れたのは、言うまでもなく相手がステルス機だからです。
しかし、いくら5世代機といえど、レーダーで見通せない山脈内を飛ぶダガー編隊は探知できません。最初は気づくことなく哨戒飛行を続けますが、基地へのトマホーク着弾により敵襲が露見したので、防衛すべきプラントに向かっていきます。

続く


マニューバ軌道を考えようぜ(トップガン:マーヴェリックの話5)

追加9

アイスマンの葬儀シーン

マーヴェリックが自身のウイングマーク(パイロット徽章)を棺に打ち付けています。
これは実際の米軍でも行われているもので、もともとは海軍特殊部隊のネイビーシールズが始めたものだそうで、殉職者の棺に対し、仲間皆が自分のシールズ徽章を棺に打ち付け、「お前は永遠に俺の戦友だ」という証にしたのだそうです。
それが口づてに広がり、今は全軍で行われているようです(ただし正規の儀式ではない)。

それと並行して、海兵隊員(海軍ではなく海兵隊です。制服が異なります。)が弔銃(ちょうじゅう)を発射していますが、あれは空包(火薬だけ入った弾薬)を3斉射して死者を弔うセレモニーで、軍の世界では一般的なものです(自衛隊もやります)

そのあと、4機のF18が進入してきて、1機のみ急上昇していきます。
あれはミッシングマン・フォーメーションといい、死者(特にパイロット)を弔うセレモニーです。
言うまでもなく、急上昇する機は死者の魂を表しており、天高く昇っていくのを仲間が見送る、という意味合いがあります。

エースコンバット7 なら誰でも クルビット や コブラ ができる

追加8

「やあ航空士諸君、こちら大佐」
このセリフ、誤訳です。戸田奈津子はどうでもいい(ここの字幕の内容覚えてない)ですが、吹き替えも間違ってましたね。
正しくは「こんにちは航空士の皆さん、こちら機長です」です。
「キャプテン(大佐)」「キャプテン(機長)」同じ名前をかけたジョークです。つまり、ハングマンの「こちら救世主」のくだりも、アンサージョークってこと。
なお、吹き替えだとマーヴェリックのバイクに張ってあるステッカーが「90km/h制限」ってことになってますが、あれは「制限なし」って意味のジョークステッカー。この訳はステッカーのデザインからして違和感感じた人も多かったでしょう。
いやマジでどうなん翻訳関係者・・・

次、ft(フィート)という単位。
1ftは30.48cmです。つまりm換算はmの3割だと思えばだいたいあってます。
kt(ノット)という単位。
1ktは1時間に1nm(マイル)進む速度。1nmは1852m。km/h換算は1.85倍すればだいたいあってます。
航空機の世界ではこれらの単位が使われます。そう考えると、マーヴェリックの作戦計画(最高高度と最低速度、地形)がいかにキ●ガイかわかりますよねw
100ft=30.48m、660kt=1222km/hですからw
「ちょっと待てぃ!!このオッサンはなにを言うとん!?」ってなりますねw

次に「レーザーコード」
レーザー誘導爆弾は、同時に多数機で多目標に投下できるよう、照射されるレーザーに符丁があり、爆弾側は設定された符丁のレーザーに向かっていきます。
ボブが言ってるレーザーコード、これを聞いて爆弾投下側パイロットは爆弾にそのコードをセットするわけです。
他映画で、地上部隊がレーザーを照射、そこに精密爆撃してもらうってのもありますが、あれも可能な話で、その場合は地上部隊からレーザーコードを聞いて設定。

次に、バードストライク。
実際に航空機の天敵。あの環境なら吸ったのも大型の鳥だろうからああなります。前に言ったとおり、ジェットエンジンは高速のタービンが回ってますんで、それが回らなくなったり、最悪吹っ飛びます。
G-Loc(一昔前はブラックアウトとも)も現実の話。コヨーテの演技がリアルですが、まさかガチでG-Locに入れて撮った!?実際の航空機のG-Loc映像がありますが、まんまですからね・・・

MiG-29OVT、純粋なデモンストレーターとして生まれた機体だからこそ可能なSUPER COBRA Maneuver

追加7

敵兵力

F14を後詰で準備してるというのは、あり得ない話ではありません。

現実では、イランが今もF14を運用しています。
というか、それが唯一の輸出例です。F14は当時最新最強の機体であり、今で言えばSu-57やF-22に匹敵するもので、お値段もべらぼうに高かったんですが、運用要求とカネという条件がそろっていたのがイランだったのです(イラクからの超音速機の侵入に遠距離から対応しつつ、格闘戦もできる機体が必要だった)。
しかも、イランはその高い士気と技術により、米軍では成し得なかった戦術を開発したり、一方的に近い戦績をたたき出しています。

飛行シーンでのうんちく

飛行シーンで、けっこう酸素マスクを外してますが、あれは基本的にウソ。役者の表情を見せるためですね。バイザーが透明なのも同じ理由。本来は酸素マスク常時着用、バイザーはサングラスのような色つき(UVや偏光カット等)です。

ヘルメットにコールサインを書くのは事実。あそこまで派手ではないですが。ちなみに、これが始まったのは前作トップガンがきっかけともいわれてます。

若造フルボッコシーン

まず、機体のキャノピー(窓)枠にパイロットの名前が書かれてますが、あれは現実にはウソで、機付長の名前が書いてあるのが事実です。
軍用機は基本的に各パイロット専用機というのはありません。飛行機には飛行時間ごとの整備が何種類もあるため、同じ機体を同じパイロットが使い続けることは不可能なためです。
機付長というのは機体の整備責任者(整備士)です。現実に、「特定の機体を持ってる」のは機付長で、パイロットはその日ごとに使う機体をアサイン(指定)され、機付長から「借りて」乗っているんです。

コブラ機動(機首を垂直近くまで引き起こす、マーヴェリックお得意のアレ)
嘘やろ、と思われがちですが、F18はもちろん、F14もできます(ただどんな機体でもできるわけではない)。
なぜできるのか、それは翼の空力性能と、推力重量比によります。
急激に引き起こせる翼の性能と、推力重量比1以上で可能になってきます。
推力重量比とは、エンジンパワーと機体重量の比率で、1以上になると翼がなくても機体を上昇させるだけのパワーがある。
嘘だと思うなら、youtubeで「TOP GUN 顔負け!?本物の アメリカ戦闘機のヤバい飛行 22選」をご覧あれ。

【エースコンバット7】F-14A Tomcat Top Gun: Maverick

追加その6

まず、制服で飲み屋に行かんだろwというツッコミですが、諸外国では普通です。
日本だと制服を着てる保安系の人がそんなことしようもんなら叩かれますがね。そもそも、制服着ている保安系職種の人は尊敬されるってのも諸外国の常識(独裁国家は除く)。

次にサイクロン達とのブリーフィングシーン

まず、敵の航空機「第5世代戦闘機」ですが、実在の「Su57」というロシア製戦闘機です。
んで、5世代って何ぞや?ってことですが、「ステルス性と高度な火器管制装置を備え、相手より早く一方的に発見・攻撃・撃破が可能である戦闘機」です。現実世界では、F22、F35、Su57、J20あたりですかね。現在は5世代機が普及し始めている段階になります。
基本的に、世代が1つ違うと大人と子供ほどの性能差があります。

F14は4世代で、1970年代以降の標準的な戦闘機がこれに当たります。コンピュータシステムと先進空力設計などがその条件ですが絶対的なものではありません。なお、「朝鮮戦争時代のポンコツ」はフェニックスの言う通りなら3世代機、コヨーテの言う通りなら4世代機ですw
「基本的に」4世代vs5世代機は狂気の沙汰というか、勝ち目はありません。

F18(劇中に出てくるのは改良型の「スーパーホーネット」)は4.5世代になります。現在は4.5世代機が世界標準で、「4世代機に5世代機に匹敵するかそれに近いシステムを搭載」した機体。ですが絶対的なものではありません。0.5世代違うと、戦えないことはないですが下の世代はかなり苦戦することになります。

この辺は後々効いてくるので覚えといてくださいw

次に、「F35はGPS妨害で使えないからF18使うんやで」について。

これはリアルに言えばウソです。
5世代機は基本性能が高いですし、F35もレーザー誘導爆弾を使えます。
じゃあなぜそうしなかったか。
「F35は2人乗りモデルがないから」です。この作品はオンボードIMAXカメラにより、役者を実機に乗せて撮るというのが大前提の作品なので、F35にしちゃうとそれができないんですね。実際の撮影では、役者を片方の席に乗せて、もう片方に乗った現役パイロットが飛ばして撮影してます。

「でもF35の最初の訓練てどうやってんの?教官乗れへんやん?」
最初はシミュレーターにより行い、技術を獲得後1人で飛ばします。

F-14 Tomcat And F-15 Eagle,Which Is More Powerful

追加その5

勲章以下略

カバン持ちのバッグマn「ハングマンだ。」
※基本的に他の若造たちや星付きツートップと似てるので、今までの解説とかぶってるものは軽い概要のみにしました。ハングマン独自(授与回数含む)ポイントは◎マーク。

◎エアメダル「ストライク・フライト」×? (授与基準はフェニックスのとこ参照。授与基準種別&回数バッジがネット画像等だと判読できないので、皆さん劇場の大画面で確認してくださいw)
◎コメンデーション ×2(戦功章の一種。Vマークもついてるように見えるので、通常の遠征による授与1と、例の「朝鮮戦争時代のポンコツ」を撃墜によりVを1かな。これもネット画像だと確実ではないので、劇場で以下略)
●アチーブメント ×3 (上級表彰に至らないが、優秀な功績や業績を挙げた)
●ユニットコメンデーション (作戦において英雄的行動により功績を挙げた部隊のうち、銀賞程度)
●ナショナルディフェンスサービス (有事における現役軍人に授与。対テロ戦争が該当。)
◎アフガニスタンキャンペーン×2 (アフガニスタン従軍徽章)
●インヒアレント・リゾルブキャンペーン(イラク・シリアにおける対テロ作戦従軍徽章)
●グローバルウォー・オン・テロリズム・サービス(対テロ戦争従軍徽章)
●シ―サービス・デプロイメント ×3 (前方展開に従事)

ハングマンも善行章がないな・・・これは設定ミスか?善行章は下士官クラスも貰えるものなので、階級による差異はないはずだし・・・
でも、朝鮮戦争時代のポンコツ、じゃなかった冷戦時代の敵機撃墜は反映されてるねえ。

ハングマンいいキャラしてるよなぁ。個人的にはそのギャグセンスと表情が好き。表情に全部出ちゃうタイプよなwフェニックスとの掛け合いが全部おもろい。バッグマンのくだりはもちろん、例の小馬鹿にした表情でフェニックスに目をやり、フェニックスは額をかくフリして中指立ててるとかねw

「ステルスパイロットか?」
「ベイビーオンボード」
「こちら救いの神。・・・座席を元に戻して着陸に備えてください」
加えて、本当は仲間想いだし。

ちなみに、最後のシーンの「空母で会おう」も前作のセリフ引用だったりする。

愛称はコブラ(Cobra)。 F-16に敗れてアメリカ空軍では正式採用されなかったが ..

公開3日目にあたる2022年5月29日に映画「トップガン マーヴェリック」を観ました。実機内にIMAXカメラ6台を搭載して撮影した、現実のスカイアクションの映像には興奮させられました。現在の素晴らしい興行成績が物語るように、多くの観客の心を掴んだのは確かです。