(必要ないので求めてはいけません!) カンピロバクター菌、赤痢菌、サルモネラ


・小さいケガ
:「念のため抗菌剤」「予防的に抗菌剤」は不要、不適切な処方。消毒薬も不要。


[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠

膿痂疹、蜂窩織炎
多くは黄色ブドウ球菌が原因。黄色ブドウ球菌はペニシリン系耐性が多いため、セファレキシン(第1世代セフェム系抗菌剤)が第一選択薬。外用薬(塗り薬)のうち、ゲンタマイシンは耐性(効かない)と言われている


感染症の一般的な予後は、一部の免疫不全患者を除いて死亡例も無く、良好な経過をとる。しかし、近年本菌感染後1〜3週間(中位数:10日間)を経てギラ ン・バレー症候群 (GBS)を発症する事例が知られてきた。GBSはフィッシャー症候群など複数の亜型があるが、基本的には急性に四肢脱力を主徴とする、運動神経障害優位 の自己免疫性末梢神経障害である。GBS患者の約30%では、GBS発症前1ヵ月以内に本菌感染症の罹患が認められており、その発症メカニズムの主因とし て、菌体表層の糖鎖構造と運動神経軸索に豊富に分布するガングリオシドとの分子相同性が指摘されている。GBSはこれまで予後良好な自己免疫疾患として捉 えられていたが、 感染症に後発するGBSは軸索型GBS(AMAN:acute motor axonal neuropathy)で重症化し易く、英国のデータでは発症1年後の時点においても、4割程度の患者に歩行困難などの種々の後遺症が残ると言われてい る。また、一部患者では呼吸筋麻痺が進行し、死亡例も確認されている。GBSの罹患率は諸外国でのデータでは、人口10万人当たり1〜2人とされている。 我が国での発生状況については報告システムがなく、実数は不明であるが、年間2,000人前後の患者発生があるものと推定されている。

[PDF] クラリスロマイシン製剤 マクロライド系抗生物質製剤

細菌は人間の都合に合わせてくれません。細菌は「この子は保育園に行ってるから手加減してやろう」なんていうことはなく、「どうにかして生き延びよう」とするものです。抗菌剤は適切な量を適切な回数使うことも大事なことです。

腸炎後2〜21日で発症することが多いです。主に成人で起こりますが、自然発症に比べ発症率は100倍高いとされています。
難しい話になりますが、これはカンピロバクターのもつオリゴ糖とヒトの末梢神経の構成成分であるガングリオシドの構造が似ているために起こるとされています。
特殊型としてはFisher症候群(外眼筋麻痺・運動失調・腱反射消失)を生じることもあります。

クラリスロマイシンは,1991年3月に承認されたマクロライド系抗生物質である。 ..

ファロム(ペネム系抗菌剤)
:重症(院内)感染のときの第一選択薬(上述「難治性細菌への抗菌剤」「切り札、伝家の宝刀的な薬」)。当院では、まず使う場面がありません。 (伝家の宝刀は抜かない、のがよいと考えます)

本菌感染症の予防は、食品衛生の面からみると、他の細菌性食中毒起因菌と同様に、獣肉(特に家禽肉)調理時の十分な加熱処理、また、調理 器具や手指などを介した生食野菜・サラダへの二次汚染防止に極力注意することである。また、本菌は乾燥条件では生残性が極めて低いことから、調理器具・器 材の清潔、乾燥に心掛けることも重要である。一方、食品の嗜好面から は、生肉料理(トリ刺し、レバ刺し等)の喫食は避けるべきであろう。その他、イヌやネコ等のペットからの感染例も報告されており、接触する機会の多い幼小 児及び高齢者等に対して啓発を図ると共に、ペットの衛生的管理が必要である。

メラ・カタラーリス、インフルエンザ菌、カンピロバクター属などの

例えば、喉の急性細菌性咽頭炎(ほとんど溶連菌が原因)と急性細菌性中耳炎(主に肺炎球菌、インフルエンザ菌が原因)は、どちらも抗菌剤アモキシシリン(当院はワイドシリン)が第一選択薬です。効果の関係から、前者と診断したら処方量を「体重あたり30mg/日」、後者でしたら「体重あたり40-50mg/日」と変えています。

子どもでは少ないですが、感染後に自己抗体が産生されて神経を傷害するギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome)(急性に発症する四肢麻痺を特徴とする末梢神経疾患)を起こすことがあります。


細菌の蛋白合成を阻害することにより細菌の増殖を抑えるマクロライド系抗生物質です。

急性胃腸炎のガイドラインに沿って治療をします。すなわち、水分補給のより脱水を世簿することです。
通常は抗生剤無しの治療で十分ですが、腹痛が強い場合、熱が持続する場合、患児の免疫が弱い場合などではマクロライド系の抗生剤(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)を使用することがあります。

11 カンピロバクター腸炎(Campylobacter enteritis)

【A】軽度症例は補液などの対症療法のみ。
重症例や免疫不全者は抗菌薬の適応である。
クラリスロマイシン (CAM) 1回200mg 1日2回、3〜5日間
アジスロマイシン (AZM) 1回500mg 1日1回、3〜5日間
エリスロマイシン (EM) 1回200mg 1日4回、3〜5日間
※世界的にキノロン系の耐性化がすすんでいる。
※現在(2016年)はマクロライドが第一選択となっているが、耐性が発現している。
症状 : インフルエンザ様症状であり、ギランバレー症候群の原因となる可能性がある。
〔参考 : JAID / JSC 感染症治療ガイドライン2015 -腸管感染症-〕

第一選択薬はクラリスロマイシンやアジスロマイシンなどのマクロライド系薬となる。

本菌の発育には微好気条件(酸素濃度:5〜10%)が必須で、発育温度域は34〜43℃、炭水化物は好気・嫌気的にも利用できず、 NaCl濃度0.5%前後を至適とした好塩性を有する。本菌はウシ、ヒツジ、野鳥及びニワトリなど家禽類の腸管内に広く常在菌として保菌されており、はブタでの保菌率が極めて高いことを特徴とする。



症状は下痢、腹痛、発熱、悪心、 嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似するが、潜伏期間が一般に2〜5日間とやや長いことが特徴である。感染性腸炎研究会資 料によると、入院患者の98%に下痢が認められ、その便性状は水様便(87%)、血便(44%)、粘液便(24%)である。特に粘血便がみられる場合は、 細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ等による腸炎との鑑別を要する。下痢は1日に10回以上に及ぶこともあるが、通常2〜6回で1〜 3日間続き、重症例では大量の水様性下痢のために、急速に脱水症状を呈する。また、腹痛は87%、嘔吐は38%にみられた。発熱時の平均体温は38.3℃ で、サルモネラ症に比べるとやや低い。


感染症の診断は臨床症状からは困難で、糞便等から本菌を分離することが最も確実である。培養は微好気培養により最低2日間(37〜42℃)要する。本菌の 同定には通常3〜5日間程度必要であり、迅速性・正確性を期するために、PCR法等の遺伝子診断技術が必要不可欠となっている。

カンピロバクター腸炎は特に乳幼児や学童の下痢症として重要な疾患で、原因菌の95 ..

・ピボキシル基を有する抗菌剤(セフカペンピボキシル(フロモックス)セフジトレンピボキシル(メイアクト)、セフテラムピボキシル(トミロン)、テビペネムピボキシルなど)
:低カルニチン血症(小児で低血糖、痙攣、脳症を起こす)の副作用あり。テビペネムピボキシル(オラペネム)は7日間までの処方制限あり

第₁選択薬であるマクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシン(CAM)とエリスロマイ.

C. jejuniとC. coliは通常、マクロライド、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシドに感性。また、in vitroでクリンダマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールに感性であるが、これらの薬剤の臨床的有効性を示すデータはない。ペニシリン、多くのセファロスポリンを含むβラクタム薬、トリメトプリムに耐性。
一方、C. fetusは基本的にマクロライド、フルオロキノロンに耐性。アンピシリン、カルベペネム、アミノグリコシドに感性。

・Campylobacter jejuni腸炎
基本的は自己限定的なため、抗菌薬加療は不要。体液量/電解質管理を行う。
抗菌薬加療を行うのは、重症の時と、重症化のリスクがある時(高齢、妊婦、免疫抑制)
アジスロマイシン 1回500mg 1日1回 経口 3日間
代替薬:シプロフロキサシン 1回500mg 1日2回 経口 3日間
重症の場合、カルバペネム±アミノグリコシド
※渡航者、特に東南アジアは、フルオロキノロン耐性が増えている

・Campylobacter jejuni菌血症
アジスロマイシン 1回500mg 1日1回 経口 14日
重症の場合、カルバペネム±アミノグリコシド

カンピロバクター種の耐性菌が選択される可能性を示している。飼料内抗菌剤の広範 ..

カンピロバクターはコンマ型をしたグラム染色というのをすると染まらない(グラム陰性)の細長い棒状の細菌(桿菌)です。
カンピロバクター種には代表的なCampylobacter jejuniのほか、Campylobacter coli、新生児や免疫の落ちている方に主にかかるCampylobacter fetus、その他にもlari、saliensis、hyointestinalis等が知られていますが、ここでは代表的なCampylobacter jejuniに関して書かせて頂きます。

[PDF] 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 (案) 資料2

カンピロバクター属菌は2004年現在、17菌種6亜種3生物型から構成されている。ヒトのカンピロバクター感染症は胃腸炎症状を主たる臨床像とし,その原因菌の95〜99 % は subsp. (以下 )で、は数%に止まる。また、敗血症や髄膜炎、膿瘍などの検査材料から分離されるカンピロバクターはsubsp. であることが多い。カンピロバクター感染症は腸炎、または食中毒とほぼ同義語と考えてよく、ここではその周辺に焦点をあてて概説する。

抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック

気管支炎
:ほとんどがウイルス性(RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなど)なので抗菌剤は不要

いずれも第一選択薬はマクロライド系抗菌剤(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)

・Campylobacter腸炎
腸炎症状が始まる12〜24時間前に発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの前駆症状がある。症状は1日から1週間以上続くことがある。
下痢は、軟便から重度の水様、血便までさまざま。多くの患者で、1日10回以上の下痢をする。腹痛は排便により緩和される。多くが自己制限的であり、数日で症状は徐々に軽快する。ただし、10%〜20%で1週間以上持続、治療を受けていない患者の5%〜10%で再発が見られる。
腹痛は右下腹部痛であることが多く、Yersinia enterocoliticaやSalmonella enteritidisと同様に、偽虫垂炎の所見を呈する。

・C. jejuni菌血症
菌血症は、C. jejuniの1%未満。急性腸炎で医師が血液培養を取る閾値を超えないことも影響している。
腸管外C. jejuni感染の3パターン
1) 急性カンピロバクター腸炎の正常な宿主に生じる一過性菌血症。
数日で血培陽性となった頃には、すでに患者は完全に回復していることもある。この場合の予後は良好であり、通常血液培養陽性をみての治療は不要。
2) 免疫正常者に生じる、腸炎後の持続菌血症もしくは深部感染。
この時分離されるC. jejuniは"serum resistant"であることが多い(自然免疫や液性免疫により除去されにくい株)が、抗菌薬が通常良く効く。
3) 免疫不全者で生じる、持続的な菌血症または深部感染。多くは腸炎を伴わない。この時分離されるC. jejuniは"serum sensitive"であることが多いが、宿主の免疫機構の問題により、滅菌するには長期の抗菌薬治療が必要。

・Campylobacter腸炎の合併症
急性期
胆嚢炎、下痢を伴う腹膜透析関連腹膜炎、皮疹(蕁麻疹、結節性紅斑など)、感染性動脈瘤、心膜炎、心筋炎 など

遅発性
・反応性関節炎
下痢の発症後、通常1〜2週間(場合によっては数週間)に出現。
小関節炎。関節炎の期間は1週間から数ヶ月
・ギランバレー症候群(GBS:急性免疫介在性多発神経障害)
GBSの30〜40%はCampylobacter感染に起因。
Campylobacter感染の1〜2週間後に神経症状が生じる。
C. jejuni感染の症候性エピソード後の2か月間にGBSを発症するリスクは、一般集団でGBSを発症するリスクよりも約100倍高い。

*2:クラリスロマイシン 400 mg,ロキタマイシン 600 mg.

前編から時間が空きましたが、後編「細菌感染症をきちんと診断し、適正な種類の抗生剤を選択し、適切な量を適切な回数分、処方する」を説明します。

[PDF] JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―腸管感染症―

病因・病態の特徴
全てのCampylobacterが病原性を持つわけではない。
最も重要な3つの要因
・小腸に到達する菌量
・感染株の病原性
・宿主の特異的免疫:特に液性免疫が関与
潜伏期間 1日〜7日 摂取した菌量が多ければ発症も早い。
多くは曝露後2〜4日で発症。
牛乳、脂肪分の多い食品、水など、胃酸バリアを通過しやすい飲食物を摂取すると、比較的低菌量で感染症が発生する可能性がある。(胃酸環境がCampylobacterの障壁となるため)
同様に、PPIまたはH2遮断薬を使用していると感染しやすくなる。
C. jejuniは、ヒトの胆汁で増殖する。これにより、感染の初期に胆汁が豊富な上部小腸の定着を助ける。空腸、回腸、結腸に腸炎を生じさせる。
しばしば菌血症を生じさせる。Campylobacter fetus subsp. fetusが良く報告されるが、C. jejuniの方が遥かにcommonである。