糖尿病の薬(SGLT2阻害薬)~スーグラ、フォシーガ等~について解説しています。
皆さんはルセフィやフォシーガというお薬の名前を聞いたことがありますか?これらのお薬は、SGLT2阻害薬に分類される薬で、2型糖尿病の治療薬として使われています。
今日からフォシーガからジャディアンスに変えてみた 慣れないように1ヶ月 ..
SGLT2阻害薬は2型糖尿病の治療薬として研究開発された薬で、保険診療上も、2型糖尿病の治療薬として適応を受けています。
2型糖尿病ではSGLT2発現率が上がり、グルコースの取り込みが亢進しているため、SGLT2を選択的に阻害する薬剤は2型糖尿病の治療に効果的である(適応の問題で1型糖尿病には使用できない)。
カナリア配合錠(カナグルとDDP4の阻害薬の配合剤)とは? スーグラ(イプラグリフロジン製剤)
今回は通院患者さんの背景疾患として増えてきました糖尿病のお薬の中で、特に心臓・腎臓の両者を守る効果も兼ね備えたSGLT2阻害薬についてのお話をしたいと思います。
現在、高SGLT2選択性はジャンディアス・ルセフィ・デベルザ/アプルウェイ・フォシーガ、低SGLT2選択性はカナグル・スーグラが使用されています。
低SGLT2選択性は血糖がより下がりやすくなるため、低血糖症状がおこりやくなるのと、多数の器官で作用するため副作用も心配です。
当院では高SGLT2選択性にあたるフォシーガを採用しています。フォシーガは副作用が少なく、多くの研究・論文により医学的根拠があり、安心して使用できるお薬です。また、心血管リスクの低減や予防、腎臓の保護にも有効に働くことが報告されており、幅広い健康効果が期待されています。
今、期待のお薬 vol.2 SGLT2阻害剤 余分な糖を尿から捨てるお薬
血液は腎臓で濾過され浄化される。濾過の過程で最初に作られる尿(原尿)には、まだ体に必要なものが含まれており、それらは再び腎臓で吸収され血液中に戻る。血液中のブドウ糖(血糖)も体に必要なもので、高血糖でなければほぼ100%再吸収され、尿糖としては排出されない。
このようなブドウ糖の再吸収を担っているのがSGLT2 で、その働きを妨げる薬がSGLT2 阻害薬である。血液中の過剰なブドウ糖の再吸収を減らし、尿糖として排出することで高血糖を改善する。
SGLT2阻害薬は医薬品になりますので、かならず医療機関で医師の診察を受け、処方を受ける必要があります。
ジャディアンス フォシーガ カナグル デベルザ ルセフィ スーグラ
ネット通販などで売っていることもありますが、個人輸入という行為にあたるため、リスクがあります。品質や安全性が保障できないばかりか、偽物の可能性もあります。また、医師や薬剤師の意見を聞くことができず、自身の体質などに適した薬なのか判断することも難しいです。SGLT2阻害薬(内服薬)には、服用できない人や、併用できないお薬もあるため、医師から説明を受けると安心です。
尚、必要以上の糖は排泄しませんので、SGLT2阻害薬単独では低血糖になるリスクは非常に低いとされています。
カロリー換算では、ブドウ糖 1gは、4kcalのため、240kcal~400kcal ..
SGLT2阻害薬の副次的な作用のひとつに体重減少がある。各薬剤の長期投与試験における投与52週後の平均体重減少量は表のとおり。
[PDF] 主な糖尿病治療薬の腎機能に応じた処方提案 ver4.0
SGLT2阻害薬は、日本では2014年から使われている比較的新しい薬です。
尿中に糖分(グルコース)が漏れる事により、血糖降下作用を発現します。
血糖の改善だけでなく、体重減少、血圧低下、糖尿病性腎症の保護作用、心血管疾患・心不全リスクの低減作用など、さまざまな多面的効果が報告されています。
副作用としては、性器感染・尿路感染が多く、女性では特に注意が必要です。
肥満を伴う糖尿病患者や心血管疾患・糖尿病性腎症をもつ糖尿病患者さんが良い適応です。
[PDF] 医療機器の保険適用について(令和2年6月収載予定)
SGLT2阻害薬は、尿中に糖分(ブドウ糖・グルコース)が漏れるようになる薬です。
血糖値を下げる効果の他にも、体重減少効果、心疾患リスクの低減、腎保護効果などが報告されています。
副作用としては、尿中に糖分が漏れるため、細菌や酵母が増えやすくなり、尿路や性器の感染症になりやすくなります。
一部のSGLT2阻害薬では、短期的には、体重が減るときに、最初は、筋肉、脂肪の両方が減少しますが、長期間 飲み続けると、脂肪組織の方が多く減ることが報告されています。
保険適応については、SGLT2阻害薬は2型糖尿病に適応があり、フォシーガ・スーグラのみ、1型糖尿病にも適応があります。(2019年11月時点)
SGLT2阻害薬には、肥満症の適応はありません。
[PDF] 愛媛大学医学部附属病院 医薬品集 FORMULARY
SGLT2阻害薬のうち、フォシーガ(ダパグリフロジン)及びジャディアンス(エンパグリフロジン)については、
SGLT2阻害薬の代謝はグルクロン酸抱合、CYP,混合型の3つに分類される。 ..
海外のデータですが、SGLT阻害薬の一つのカナグリフロジン(=日本の商品名:カナグル)を、中高齢の肥満者に投与し、どのくらい体重が減少するのかを検討した研究が報告されています。
カナグリフロジン投与量は、50mg、100mg、300mgであり、対象者の平均年齢は44.8歳、平均体重は101.3kg、平均BMIは37.0です。
(カナグルの日本の用量は、100mgです。)
カナグリフロジンを投与すると、体重 約100kgの人で、1.6%(1.7kg)ほど多くの体重が減るようです。
また、下の図は、体重の減量の度合い別の人数をグラフにしたものです。
カナグリフロジン投与群(黒)の人の方が、プラセボ群(白)の人より、体重が多く減少できています。
その他の効果としては、カナグリフロジン投与群では、血圧は、約2mmHg程度低下しました。
副作用としては、カナグリフロジン投与群では、女性の性器感染症・悪心などが多く認められました。
参考・グラフ引用:
フォシーガとはどんな薬?ダイエット効果と痩せる理由について解説
SGLT2阻害薬にはいくつか種類がありますが、SGLT2選択性で大別でき、SGLT2選択性が高いのか、低いのかで考えていきます。
SGLT2選択性が高いとはどういうことかですが、SGLT2は腎臓に特異的に発現するたんぱく質です。つまり主に腎臓のみで機能し他の器官に影響しないため、余計な作用がなくなるので副作用が少ないことになります。
ではSGLT2選択性が低いとはどういうことでしょうか。
それはSGLT2阻害薬がSGLT2だけでなく、SGLT1にも作用することを指します。
SGLT1は小腸・心臓・気管・脳などに発現しますので、SGLT1を阻害することで、低血糖のリスク上昇、下痢などの消化器症状、虚血状態の心筋や脳への悪影響などが懸念されています。
当院で採用しているSGLT2阻害薬はSGLT2選択性が高い『フォシーガ』です。
SGLT2阻害薬が1日に排出する糖分は約320kcal 白米換算でお茶碗1杯分程度
糖質制限ダイエットは、糖質を制限するダイエット方法です。
このダイエットにSGLT2阻害薬を併用すると、危険な場合があります。
SGLT2阻害薬を内服すると、糖質(グルコース)が、1日 60g~100g 尿に漏れていく状態になります。
そこに極端な糖質制限を加えると、体は、脂肪やアミノ酸から糖質を作るしかなくなり、ひどくなると、を発症することがあります。
フォシーガとグルコバイ飲んでるけどメトホルミンも飲んだ方がいいかな? ..
ただし、“initial drop”と呼ばれ、SGLT2阻害薬の内服開始間もない期間は腎臓の機能が一時的に低下することが知られており、それを理由に即座に中止してしまうのはもったいない為、処方医は長期的視野で継続・中止の可否を慎重に決定する必要があります。
スージャヌ配合錠(ジャヌビアとSGLT2阻害薬との配合剤)
SGLT2阻害薬は前述のGLP-1受容体作動薬と並んで、所謂”やせ薬”と称されます。
糖尿病の薬(SGLT2阻害薬)~スーグラ、フォシーガ等~
この原尿ですが、健常成人では、1日150Lの血液をろ過して作っています。
原尿中のブドウ糖を、そのまま外に出すともったいないため、腎臓の尿細管という所で、SGLT1、SGLT2という蛋白質を通じて、体内に再吸収されます。
SGLT1とSGLT2は両方とも、糖分の再吸収に関わっており、原尿中のブドウ糖の約9割が、主としてSGLT2により再吸収されます。
上図は、SGLT2阻害薬のカナグリフロジン(カナグル)により、腎臓の尿細管で、SGLT2が阻害され、尿中に大量の糖分が漏れる様子を描いたものです。
ところで、SGLT2阻害薬を飲むと、どのくらい尿糖が増えるかご存知でしょうか?
これは、角砂糖(1個 3~4g)では、だいたい、20個~30個分に相当します。
結構、多くの糖分が外に出ていきますね。
糖尿病薬物治療その3:SGLT2阻害薬について
下図は、カナグル100mg投与後の1日あたりの尿糖の量の推移を示した図です。
(カナグルの2型糖尿病患者を対象にした第I相反復投与試験より)
カナグルは、半減期(血中濃度が半分になるまでの時間)が10.2時間と長いため、投与中止した後も、しばらく尿糖の排泄が続いています。
カナグルを投与すると、すべての人で尿糖が100g増えるかというと、そういうわけではありません。
日本人2型糖尿病の人を対象とした他の臨床研究では、カナグル100mgを投与した後の尿糖が増えた量は、平均 45.1g/gCreであったと報告されています。
(尿糖の排泄量は、一日均等ではないため、両者を比較するのは、若干無理がありますが。)
SGLT2阻害薬の比較
SGLT2阻害薬には、食前・食後の一日にわたり血糖値を下げる作用があることが分かりました。
次に、HbA1cの低下作用を見てみましょう。
縦軸:HbA1c変化(%)
ジャディアンス 左 10mg 右 25mg
BMI:左:やせ 中:普通 右:肥満