通常、成人にはラメルテオンとして1回8mgを就寝前に経口投与する。
本研究は臨床試験ではなく症例報告です。ランダム化や対照試験等は実施されておらず、この投与方法による真の効果や有意性は不明です。今後、ランダム化比較試験(RCT)等の実施が望まれます。また、日本におけるラメルテオンの承認された用法用量は、不眠症に対し「1回8mg就寝前」です。本報告での用法である「1回0.16~1.1mg程度を夕刻に」は厳密には適応外である可能性があります。現時点では、本発表は、適応外使用や、この投与方法を推奨するものではありません。
M-2の血中濃度はラメルテオンの80~90倍ほどなので、にあります。
DSWPD患者の不眠症状に対してラメルテオンを「就寝前」として処方してしまうと、それが何時になるか予測できず、時間がばらつくことは生体リズムを逆に不安定化させるおそれがあります。さらには、DSWPD患者は早朝に就寝することも稀ではないため、体内時計を最も後退させてしまう時間にラメルテオンを服用してしまうことも考えられます。このため、服用タイミングの指定は「就寝前」ではなく、体内時計を前進させることができる、夕方の具体的時刻を指定することが、DSWPDの治療において睡眠覚醒リズムを前進させる上で重要である可能性が考えられました。
睡眠に対する影響については、外因性のメラトニンは、ラメルテオンと比較すると入眠の効果が弱く、睡眠時間の変化はないようです。
不眠症治療薬と QOL: MT1/MT2 受容体作動薬 ラメルテオンの研究開発
ラメルテオンは、メラトニン受容体作動薬ですが、6時間ほど効果が続きます。一方、外因性のメラトニンは2時間の効果となっています。さらに、ラメルテオンは、メラトニンより10倍の効能があると報告されています。
このように、夜にラメルテオンを1錠(8mg)飲んでしまうと、翌朝~昼の、逆に体内時計が遅れてしまう(夜型化する)時刻にまで成分が体内に高濃度に残存してしまうことで、体内時計を前進させる作用を打ち消してしまい、効果がなくなってしまう可能性があります。昼になっても「まだ夜である」と体に伝えることになりかねない状態です。一方で、適切に減量投与を行えば、翌朝への持ち越しを減少させられるため、体内時計を早め、DSWPDの症状改善につなげられるというメカニズムが考えられました。
メラトニンMT1/MT2受容体特異的アゴニストであるラメルテオンは、
ラメルテオンは、体内時計を調整するメラトニン受容体(MT2)に対してメラトニンの16.9倍の作用をもたらすほか、ラメルテオンが体内で代謝されて生じるM-IIという物質もメラトニンの2/3程度の作用をもたらします(IC50)。問題は、体内で自然に分泌されるメラトニン自体は血液内に上記のとおり、どれだけ多くても夜間ピークで100pg/mL(0.1ng/mL)という程度でしか存在しないのに対し、ラメルテオンを1錠(8mg)投与すると、M-IIは54ng/mL(54000pg/mL)と、生理的なピーク濃度の少なくとも500倍程度以上の血中濃度を示します。さらにはM-IIは半減期(体から半分抜けていく時間)が2時間程度であるため、仮に就寝前の0時に服用した場合、12時間経過したあとも1/64が体内に残存していることになります(2^6=64)。これは、真昼の12時であってもメラトニンの夜間ピーク濃度の10倍程度以上の血中物質濃度、そして約6倍以上の受容体活性が残存することとなります。受容体活性(IC50)を反映したモデル図を以下に示します。
同じメラトニン受容体作動薬であるロゼレムは、小児に対しては安全性が確認されていないとして、使いにくさがあるお薬でした。
MT1受容体へはメラトニンの約6倍、MT2受容体へは約3倍の親和性で
睡眠に対する効果として、があります。そのため、不眠症の治療に使われています。メラトニン受容体作動薬は、ベンゾジアゼピン系のと比較すると、であることが利点です。
メラトニンは体内のメラトニン受容体(MT1とMT2)という部位に対して働きます。メラトニン受容体作動薬も、MT1とMT2に作用し、病院やクリニックにおいて、と呼ばれる医薬品として、処方されています。
ヘテロマーのMT1/MT2メラトニン受容体が光受容体の機能を調節する
睡眠日誌と諸症状から睡眠覚醒相後退障害(DSWPD)と診断された初診患者30名のうち、睡眠衛生指導を行ったものの症状がほとんど改善せず、かつ、再診に来院した23名について報告を行いました。年齢は14~46歳(平均23.5歳)、男性15名・女性8名で、全例に夜間の不眠症状と朝早い時間の覚醒困難が認められました。また、18名(78.3%)は、過去に通常用量のラメルテオン(8mg)を処方された経験がありましたが、いずれも効果不十分あるいは眠気の持ち越しや倦怠感等の問題により、初診時には服用していませんでした。
ラメルテオン錠8mg「トーワ」の効果・効能・副作用 | 薬剤情報
治療の第一選択は睡眠衛生指導であり、特に光環境を中心に指導/調整が行われますが、効果が乏しいことも少なくないという問題があります。薬物療法としては、世界的にはメラトニンの投与が多く行われていますが、日本においては市販されておらず、処方薬も小児の神経発達症を除いて承認がされておりません。また、多くの国でメラトニンはサプリメントとして販売されていますが、品質が保証されておらず、ばらつき等があるという問題が存在します。 一方で、日本を始めいくつかの国ではラメルテオン(ロゼレム®錠)というメラトニン受容体(MT1/2)作動薬が不眠症に対する医薬品として承認されています。ラメルテオンもDSWPDの加療に有用である可能性があるものの、臨床試験は存在せず、ごく少数例の症例報告が存在するに留まりました。さらに、既存の研究や薬理学的プロファイルは「通常用量での投与はDSWPDを改善できないおそれがある」ことを示唆していますが、その理論的考察が充分ではありませんでした。 ここで我々は、DSWPDに対してごく少量のラメルテオンを夕刻に処方した例をまとめ、その効果の有無について検討すると共に、なぜ超少量のラメルテオン夕刻投与が効果的であると考えられるのかについての薬理学的レビューと検討を行いました。
[PDF] メラトニン受容体アゴニスト ラメルテオン錠 Ramelteon Tablets
「朝起きられない病」として知られる睡眠覚醒相後退障害(DSWPD/DSPS)に対して、夕刻(平均18:10)の超少量(中央値1/14錠)のラメルテオンの使用が、投与を受けた患者さんの睡眠覚醒リズムを平均約3時間有意に前進させ、「夜眠れない/朝起きられない/起きても体調が悪い」という諸症状の改善に効果的であったという内容を、複数例の症例報告として発表しました。また、既存の研究の薬理学的レビューを行うことにより、DSWPDの加療には通常用量(1錠=8mg)では多すぎると考えられること、「眠前」の投与だと服用時刻が遅すぎると考えられることを示しました。本報告は、東京医科大学精神医学分野の志村哲祥兼任講師らによって、米国睡眠医学会(AASM)公式雑誌のJournal of Clinical Sleep Medicine誌に、2022年8月5日に発表されました。
メラトニンは、視床下部の視交叉上核にあるMT1とMT2受容体に作用します。 それぞれの受容体の作用は、
K. Baba, A. Benleulmi-Chaachoua, A.-S. Journ?, M. Kamal, J.-L. Guillaume, S. Dussaud, F. Gbahou, K. Yettou, C. Liu, S. Contreras-Alcantara, R. Jockers, G. Tosini, Heteromeric MT1/MT2 Melatonin Receptors Modulate Photoreceptor Function. Sci. Signal. 6, ra89 (2013).
ラメルテオンは、メラトニンMT1及びMT2受容体に対する高い親和性
ラメルテオンは体内時計のリズムを整えている生理的な物質に働くことで、睡眠を促していくお薬になります。
を有するメラトニン受容体アゴニストであり、ヒトメラトニンMT1
Gタンパク質(ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質)共役受容体(GPCR)ヘテロマーの形成により、シグナル伝達の多様化が可能になり、薬剤選択性が向上することが大いに期待される。これらのオリゴマー化事象に関する研究のほとんどは、異種発現系で実施されており、in vivoでの検証は行われていない場合が多いため、GPCRヘテロマー化の生理的意義が疑われている。メラトニン受容体MT1およびMT2は、培養細胞に発現させると、ホモマーおよびヘテロマーとして存在する。われわれは、メラトニンMT1/MT2ヘテロマーが、マウスの桿体光受容体の光感受性に対するメラトニンの作用を仲介することを示した。メラトニンのこの作用には、ヘテロマー特異的ホスホリパーゼC/プロテインキナーゼC(PLC/PKC)経路の活性化が関わっていた。さらに、MT1-/-またはMT2-/-マウスや、光受容細胞に機能性MT1/MT2ヘテロマーの形成を妨げる非機能性MT2変異体を過剰発現しているマウスにおいては、この作用が消失した。本研究は、網膜機能におけるメラトニン受容体ヘテロマーの必須の役割を立証しているだけでなく、GPCRヘテロマー化の生理的重要性をin vivoで裏付けている。したがって、MT1/MT2ヘテロマー複合体は、光受容体の機能を向上させるための特異的な薬理学的標的となる可能性がある。
体y䉯䊆䉴トを探索し、MT1/MT2受容体に非常に選択性の高いramelteonを見出した䇯Ramelteonは、MT1おb
Kenkichi Baba1*, Abla Benleulmi-Chaachoua2,3,4*, Anne-Sophie Journ?2,3,4, Maud Kamal2,3,4, Jean-Luc Guillaume2,3,4, S?bastien Dussaud5, Florence Gbahou2,3,4, Katia Yettou2,3,4, Cuimei Liu1, Susana Contreras-Alcantara1, Ralf Jockers2,3,4†‡, and Gianluca Tosini1†‡
メラトニンMT1及びMT2受容体に対する高い親和性を有するメラ
初診時の平均睡眠スケジュールは平日が3:21~11:03、休日が3:45~12:30でした。体内時計/クロノタイプの指標として知られるMSFsc(生理的な睡眠時間帯の中間時刻)は7:41でした。初診時は平均18:10(中央値18:00)に、平均0.653mg(中央値1/14錠)のラメルテオン投与が行われ、うちいくつかの症例では投与直後の眠気/倦怠感のためにさらに減量が行われ、最終的に平均投与量は0.571mg (1/7~1/50錠)となりました。この結果、平均約40日後の時点で、平均睡眠スケジュールは平日が0:17~8:43、休日が0:30~9:27、MSFscは4:46と、約3時間の大幅な前進が見られました(対応のあるt検定:p