10月7日:メラトニンの進化(9月25日号Cell誌掲載論文)
今回の研究の結果からは、夜間のメラトニンの分泌が多いか、少ないかは体質的なものであるが、それがADHDの診断や症状の強さと関連している可能性が高い、と言えます。メラトニンの分泌が少ないことがADHDの原因なのか、ADHDだからメラトニンの分泌が少なくなるのか、といった因果関係までは言及できないものの、メラトニン分泌とADHDには関連があるために、ADHD症状をもつ方、とりわけ確定診断をもつ方では睡眠覚醒リズムの乱れが起きやすいと考えられます。
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キンギョ脳内メラトニン受容体の結合部位数は明期に多く暗期に少ない日周リズムを示した。松果体除去あるいは恒明条件下での飼育によって血中メラトニン濃度の日周リズムを消失させると、受容体数の日周リズムも消失したことから、受容体数の日周リズムは血中メラトニン濃度の日周リズムによって駆動されていると結論された。
各種ヌクレオチド類はキンギョ脳内メラトニン受容体の特異的結合を用量依存的に減少させた。その効果はGTPS>GTP>GDP>GMP=ATP>cGMPの順であった。また各種無機塩類の影響について調べたところ、MgCl2(5mM)は特異的結合を増加させたが、高濃度の各種無機塩類は特異的結合を減少させた。その効果はCaCl2>LiCl>MgCl2>NaCl>Choline chloride=KClの順であった。これらの結果から、キンギョの脳内メラトニン受容体はG蛋白質と共役していることが示された。
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メラトニンの生理作用の解明にはメラトニンの投与が必須である。これまで魚類に対してメラトニン投与は数多く行われてきたが、投与後のメラトニンの動態については全く知見がない。そこで腹腔内注射と経口投与(いずれも 1mg/体重1kg)によりメラトニンをキンギョに投与し、血中メラトニン濃度の経時変化を調べところ、いずれの方法でも血中メラトニン濃度の日周リズムを再現できることが判明した。
キンギョを恒暗条件下におくと血中メラトニン濃度および眼球内メラトニン含量は概日周期を示した。また培養松果体も、恒暗条件下で概日周期を示した。これらの結果から、キンギョのメラトニンリズムは環境要因のみならず内因性の生物時計による制御も受けていることが明らかになった。
論文タイトル:Cryo-EM structure of the human MT1-Gi signaling complex.
キンギョの血中メラトニン濃度は6月、9月に高く、12月、3月に低い明瞭な季節変化を示した。このため環境条件を変えて調べたところ、血中濃度は水温の高低にかかわらず暗期に高い日周リズムを示したものの、低水温下では暗期の濃度は大きく低下することが判明した。この結果、血中メラトニン濃度は日長と水温の双方に影響を受けるものと結論された。
メラトニン(N-acetyl-5-methoxytryptamine)は脊椎動物の松果体や眼球で暗期に合成されることから、環境の明暗情報を伝達するホルモンと考えられている。メラトニンは、哺乳類においては繁殖期の決定や概日周期の同調に重要な役割を果たしているが、魚類における知見は乏しい。そこで本研究は、魚類におけるメラトニンの動態、合成・代謝機構、さらにメラトニン受容体による情報伝達系までを総合的に明らかにすることを目的としている。概要は以下の通りである。
本論文は,家畜や家禽,特にウシとニワトリの感染症予防や治療に抗生物質に代わる新
科学的背景「睡眠覚醒リズムとADHD特性に関連がある可能性」
睡眠覚醒リズムにはメラトニンというホルモンが関与していることが知られていましたが、メラトニンは光を浴びると分泌が抑制されるために、これまでにメラトニンの分泌に関与する遺伝的な要因については明らかになっていませんでした。台湾国立大学の研究者らは、尿中のメラトニン代謝物が比較的安定しており、これをクレアチニン値で補正することで、早朝のメラトニン代謝物を測定することで夜間のメラトニン分泌を高い精度で推測できることを見出し、これを台湾の健常者を対象にして測定し、メラトニンの分泌に影響を与える遺伝子の変化を明らかにしました。本研究ではこの遺伝子解析の結果を利用して、浜松母と子の出生コホート参加者876名を対象にして研究を行いました。
以上,本研究においては,魚類におけるメラトニン合成の制御機構,メラトニン受容体による情報伝達機構,メラトニンの代謝系,ならびにメラトニン投与法などについて総合的に検討した。これらの結果は,魚類においてもメラトニンが,季節繁殖などの年周リズムや,遊泳活動,摂餌活動などの日周リズムの調節に重要な役割を果たしていることを強く示唆している。本研究で明らかになった結果は,魚類におけるメラトニンの生理作用をさらに詳しく解明するために重要な基礎的知見となるものと思われる。
筆頭論文がJournal of Pineal Researchに掲載されました
2018年度では、廊下側と比べ、窓側の座席で過ごす子どもの睡眠状況が良好であったことを学会で発表し、論文として研究成果をまとめています。さらに、2019年度では、「中学生を対象とした場合でも、小学生と同じような効果が得られるのか?」という仮説を検証しており、その内容を学会で発表できるよう、データ分析を行っているところです。どちらも論文として、研究成果の詳しい内容が公表され次第、HPでお知らせをしますので、ご期待ください。
※ 論文の内容に関するお問い合わせは、当センターでは受け付けておりません ..
このように本研究では、松果体細胞1個の培養系に代表される独自に開発した実験技術や、様々な鳥類を比較することなど独自の実験系を駆使し、鳥類松果体のメラトニンリズムの入力系、出力系について多くのことを明らかにした。その結果、鳥類の松果体は外界の光条件に同調し、夜間に分泌が亢進し、行動や体温抑制を行う主時計(マスタークロック)としての機能を果たしていることを明らかにし、学術上貢献するところが少なくない。よって審査委員一同は本論文が博士(農学)の学位論文として価値あるものと認めた。
2024年現在、当社の製品は、世界中で9,000件以上の論文に引用されています。
メラトニンは明瞭な日周リズムを示すホルモンなので,受容体の側にも日周リズムが存在するのではないかと考え,キンギョ脳内メラトニン受容体の日周リズムとその調節機構について調べた。明暗条件下では,キンギョ脳内メラトニン受容体のBmaxは明期に高く,暗期に低い,血中メラトニン濃度と負の相関を持った日周リズムを示した。この結果から,メラトニン受容体のBmaxがメラトニンによりdown regulationを受けている可能性が示唆されたので,血中メラトニン濃度の日周リズムを消失させる松果体除去と恒明条件下での飼育を行い,その影響について検討した。その結果,松果体除去,恒明条件下での飼育のいずれによっても脳内メラトニン受容体の日周リズムは消失した。また,松果体除去と恒明条件下での飼育の効果は相加的ではなかった。これらの結果から,脳内メラトニン受容体の日周リズムは血中メラトニン濃度の日周リズムにより駆動されていると結論された。
・薬理学的効果と生理学的効果の見極めなど,関連論文等の情報を常に集めて研究.
以上の持続可能性という課題やメラトニンの性質を鑑み、われわれの研究グループは、子どもが日常的に長い時間過ごす学校での教室座席に注目しました。学校での教室座席は、大きく窓側、中央、廊下側の3つに分けられます。とりわけ、窓側と廊下側での太陽の受光環境が座席の位置で異なることは、下記の写真をご確認いただいても明らかです。
論文掲載雑誌:「Journal of Pineal Research」(2019年2月号)
社会的背景 「注意欠如多動症に対する認知の高まりと睡眠障害」
注意欠如多動症(ADHD)は神経発達症(発達障害)の一つで、じっとしていることや待つことが苦手といった多動性・衝動性と、集中力を持続することが苦手といった不注意を特徴とし、18歳以下の約5%、成人の約2.5%に見られると報告されています。また、ADHDを有する方は、睡眠障害を併存することが多く、特に睡眠覚醒リズムに乱れがあり、夜更かしや朝の起床困難がしばしば見られますが、それがADHD症状によるものなのか、他に原因があるのか、明らかになっていませんでした。
サーカディアンリズムと記憶 -メラトニン投与による長期増強抑制効果-. 専修大学人文科学研究所人文科学年報
6章では、ウズラ脳の種々の場所に装着した慢性的カニューレより、メラトニンの微量投与を行い、メラトニンによって行動のみ抑制される部位、体温のみ抑制される部位、両者ともに抑制される部位および両者ともに影響されない部位を明らかにしている。
5.3 と 4 の結果から,低温ストレスに対する窒素とメラトニンの混合効果を評価した.この結
5章では、鳥類の松果体の時計による体の諸機能の日内リズム調節機構について研究している。鳥類松果体からは神経性出力は無いことから、時計のリズムは液性物質を使って調節していると考えられた。そこで、スズメとウズラを使用し、メラトニンを毎日定刻に投与したときリズムを同調できるか否かが検討された。その結果、リズムの同調は起こさないが、行動を直接抑制する効果が観察され、鳥類ではメラトニンは直接、行動や体温を抑制することが明らかにされた。
※本論文に関連し,開示すべき COI 状態にある企業,組織,団体
メラトニン受容体の細胞内情報伝達系について明らかにする第一歩として,各種グアニンヌクレオチド類とカチオンを用いてG蛋白質と連関しているかどうか調べた。各種ヌクレオチド類はキンギョ脳内メラトニン受容体の特異的結合を用量依存的に減少させた。その効果はguanosine 5’-0-(3-thiotriphosphate)(GTPS)>GTP>GDP>GMP=ATP>cGMPの順であった。また,GTPS(10-6M)は,受容体からリガンドの解離を引き起こし,また,メラトニン受容体のKdを増加させ,Bmaxを減少させた。各種無機塩類の影響について調べたところ,NgCl2(5mM)は特異的結合を増加させたが,高濃度の各種無機塩類は特異的結合を用量依存的に減少させた。その効果はCaCl2>LiCl>MgCl2>NaCl>choline chloride=KClの順であった。MgCl2(5mM)の存在下ではKdは変化しなかったが,Bmaxは増加した。また,CaCl2(75mM),MgCl2(100mM),NaCl(200mM)の存在下においては,Kdは増加し,Bmaxは減少した。これらの結果から,キンギョ脳内メラトニン受容体はG蛋白質と共役していることが示された。
原著論文 · 監修医師のコメント · 関連コンテンツ · 方法 · 主要評価項目 · 副次評価項目 · 解析対象 · 投与された薬剤.
4章では、光による時計の同調に関する、光受容器から時計へのシグナル伝達について検討している。ヒヨコ松果体細胞に光パルスを与えメラトニンリズムの位相が前進するときに、種々のシグナル伝達阻害剤を添加した実験より、光による時計の同調、特にリズム前進作用は細胞内小胞体のカルシウムの一過的放出によるのではないかと推測された。一方、光による後退作用には先の薬物は無効であり、前進作用と後退作用の細胞内伝達機構は異なることが示唆された。このことは鳥類の松果体と哺乳類の視交叉上核の時計の光同調機構が異なることを示唆している。
論文を紹介しております。皆様のご研究の参考にして頂ければ幸いです。なお、測定 ..
長期野外キャンプで過ごすことがメラトニン分泌を改善させるとは言え、だれもが参加することは難しく、持続可能な実践ともいえません。そこで、メラトニン(眠りのホルモン)の性質を改めて振り返りました。メラトニンは、光の影響を強く受けます。具体的には、日中に太陽の光を浴びる、その反対に夜は強い光を浴びない、といった昼夜でメリハリのある明暗環境を意識することがメラトニン分泌を改善するポイントとなります。
5月27日:メラトニンと糖尿(6月14日号Cell Metabolism掲載論文)
ところが、このメラトニン分泌が夜よりも朝の方が多い子どもが多く、さらに、休日明けの月曜日では、その割合がいっそう増える(Noi and Shikano, 2011)ことも確認されており、大変由々しき事態であると言えます。このような問題に対して、長期野外キャンプでの生活がメラトニン分泌を改善させるとの報告もあり、子どものメラトニン分泌の改善に向けた解決方策を提案する、さらなる研究の発展に期待が寄せられています。
5月27日:メラトニンと糖尿(6月14日号Cell Metabolism掲載論文) ..
本研究の結果は、ADHDを有するお子さんでは睡眠覚醒リズムが乱れやすく、早朝に光を浴びる、夜間のスクリーンタイムを減らすなどの睡眠衛生を改善すること、並びに適切にメラトニン製剤を利用することなどの工夫が、ADHD症状に対して良い影響を持つ可能性があることを示唆していると考えられます。