Certainty of the evidence(GRADE)
早産リスクのある妊娠 26 週 0 日~33 週 6 日の女性を対象として多国間無作為化試験を行った.参加者を,デキサメタゾンの筋肉内投与と,外観上識別不能なプラセボの投与に割り付けた.主要転帰は,新生児死亡のみ,死産または新生児死亡,母体の細菌感染の可能性例とした.新生児死亡のみ,および死産または新生児死亡は優越性解析で評価し,母体の細菌感染の可能性例は非劣性解析で評価し,非劣性マージンは相対尺度で 1.25 と事前に規定した.
胎児胎盤系のステロイド合成に対するデキサメタゾンの影響 | 文献情報
バングラデシュ,インド,ケニア,ナイジェリア,パキスタンの 29 の二次・三次病院で女性 2,852 例(とその胎児 3,070 例)が無作為化された.2 回目の中間解析の時点で利益が認められたため試験は中止された.新生児死亡は,デキサメタゾン群の出生児 1,417 例中 278 例(19.6%)とプラセボ群の出生児 1,406 例中 331 例(23.5%)に発生した(相対リスク 0.84,95%信頼区間 [CI] 0.72~0.97,P=0.03).死産または新生児死亡は,それぞれ胎児・出生児 1,532 例中 393 例(25.7%)と,1,519 例中 444 例(29.2%)に発生した(相対リスク 0.88,95% CI 0.78~0.99,P=0.04).母体の細菌感染の可能性例の発生率は,それぞれ 4.8%と 6.3%であった(相対リスク 0.76,95% CI 0.56~1.03).有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.
近年,胎児のエコースクリーニング検査が浸透し,多くの先天性疾患が出生前に診断されている.そのなかで,胎児期に心不全から胎児死亡に進行するものや,先天性心疾患(congenital heart disease: CHD)重症度が妊娠経過中に進行し,生後治療では救命が困難となる重症CHDが存在することが明らかになっている.これらの疾患に対して様々な出生前治療介入が,欧米を中心として施行されており,治療方法や治療成績,予後改善効果について報告されている.本邦でも致死的な胎児CHDに対する胎児治療の臨床研究や臨床試験が行われており,胎児頻脈/徐脈性不整脈,重症大動脈弁狭窄に対して,母体・胎児の安全性を担保しながら一歩ずつ着実に施行可能になっている.一方でCircular shuntを伴うエプスタイン病に対する非ステロイド性抗炎症薬投与に関しては,国内ではまだ報告がなく,これから進められる介入と考えられる.いずれの治療介入についても母体・胎児に関する倫理的課題や診療制度構築の問題があり,それらに対して同時に取り組んでいく必要がある.種々の問題に対処しながら,世界の胎児心臓治療水準に並べるようにしていくことが望まれている.
胎児3,070名、対照:プラセボ)。一次アウトカムは、新生児死亡・死産/新生児死亡・母体細菌感染である。 結論
先天異常が発生する原因は、一部の遺伝子異常や環境要因を除いて、大部分はいまだ明らかになっていない。その中で環境要因として指摘されているものには、母体の感染症や疾病の他、栄養状態、生活習慣、薬物や化学物質、放射線の曝露などがあると考えられている。山折 大教授は、とりわけ妊娠中に曝露する可能性のある化学物質に着目し、その安全性評価と適正使用に向けた研究に取り組んでいる。
「妊娠(受精)後、重要な器官が形成されていく4週目以降は、催奇形性に対する感受性が非常に高くなります。この時期に化学物質に曝されると、先天異常(奇形)のリスクが高まるため、注意が必要です」と説明した山折教授。医薬品の中にも、母親が服用した場合に胎盤を通じて胎児に有害な作用を及ぼすものがあるという。中でも山折教授が注目したのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)だ。「これは広く使われている解熱・鎮痛薬ですが、胎児毒性があり、妊娠後期に用いると、胎児の動脈管の収縮を引き起こすことが知られています」と語る。
ヒト胎児肝における薬物代謝酵素の糖質コルチコイド応答性の差異に関わる機 ..
出生前に動脈管が収縮・閉鎖すると、肺動脈や心臓に大きな負荷がかかり、胎児水腫や胎児死亡などの原因になる。そのため2014年には、厚生労働省が妊娠後期の女性に対し、NSAIDsの一つであるケトプロフェン貼付剤の使用を「禁忌」とした。
「もちろんケトプロフェン以外のNSAIDsにも、胎児動脈管収縮の危険はあります。しかしそれらがどのように扱われているのか、専門家の間にも共通認識がありませんでした」。そこに問題意識を持った山折教授は、薬剤師を含めた研究グループで、医療用および一般用NSAIDs貼付剤の添付文書にどのような情報が記載されているのか、調査を行った。
胎児期の管理は、胎児心機能・不整脈評価が可能な施設にて行い、分娩および新生児 ..
ジクロフェナクやフェルビナク、インドメタシン、ロキソプロフェンなど、NSAIDs貼付剤を網羅的に調査した結果、妊娠後期の女性の使用を禁じる「禁忌」として明確に記載されているものの他、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用」と注意事項が記載されたもの、さらにはまったく記載のないものもあり、記載内容は必ずしも統一されていないことが明らかになった。「特に懸念されるのが、『禁忌』と明示がない貼付剤の中に、薬剤師のいないドラッグストアなどでも購入できる第2類医薬品が含まれていることです。一般消費者が知らずに購入し、妊婦が使って胎児毒性が発生してしまうかもしれません」と指摘した山折教授。薬剤師や医療関係者をはじめ専門家にこうした事実を周知し、注意を喚起する意味でも、山折教授らの研究は重要なインパクトがあった。
また山折教授は、化学物質の曝露が胎児に及ぼす影響評価も行っている。力点を置くのは、ヒト胎児由来の組織や細胞を用いることだ。「既存の研究では、実験動物を使った評価が多数を占めています。しかし化学物質に対する胎児の感受性は動物種によって差があり、実験動物による評価が必ずしもヒトに当てはまるとは限りません。また、胎児の肝臓には、成人とは異なる種類の薬物代謝酵素が発現していることもわかっています」と、ヒト胎児由来の細胞を用いる重要性を語る。
場合に使用しうる薬物療法としては:経口フッ化ステロイド剤(デキサメタゾン、ベタメサゾン);静注用免疫
「ヒト胎児肝細胞に各試験化合物を曝露し、シトクロムP450(CYP)、エポキシドヒドロラーゼ、グルタチオンS-転移酵素、硫酸転移酵素(SULT)といった胎児肝臓に発現する薬物代謝酵素の発現変動を調べました。全58種類の中でひと際目を引いたのが、デキサメタゾンという副腎皮質ステロイド薬です。これでは、胎児にしか存在しないCYP3A7、およびSULT1E1が極めて高い割合で発現誘導されることがわかりました」と言う。
: H360D 胎児への悪影響のおそれ。 H412 長期継続的影響によって水生生物に有害。 注意書き
さらなる実験で、デキサメタゾンによるSULT1E1の発現のメカニズムの一端も明らかになった。つまりデキサメタゾンはグルココルチコイド受容体を介してSULT1E1の発現を誘導していることがわかったのだ。「SULT1E1は妊娠中の女性ホルモンの不活性化に関与しています。つまりデキサメタゾンが、胎児の性ホルモンバランスを変化させ、胎児の成長に影響を及ぼす可能性が示唆されたといえます」
どでは、母体と胎児への不必要なデキサメタゾンの暴露を防ぎ、起こり得るデメリッ
妊娠中に投与または曝露される可能性のある医薬品や化学物質のヒト胎児への影響を明らかにすることは毒性学的にとても重要です。現在、ヒト胎児肝細胞を用いて医薬品を含む化学物質の胎児毒性を評価するためのin vitro試験系の構築に取り組んでいます。本研究により胎児毒性評価系を構築できれば、化学物質のヒト胎児への影響を予測する有用な解析基盤の一つを提供できるものと考えます。
行っている。胎児心拍確認後に母体へデキサメタゾン 1 mg/日の投与による予防的胎児治療を開始し、
In recent years, fetal ultrasound screening has become widespread, leading to most congenital diseases being diagnosed prenatally. Nonetheless, some cases still progress to fetal heart failure leading to fetal death during their uterine period, while others with congenital heart disease (CHD) still experience severe deterioration, making survival difficult even with intensive postnatal therapy. Various prenatal interventions for these diseases have been implemented mainly in Europe and the United States, and there are many reports concerning their outcomes and effects on prognostic improvement. In Japan, clinical studies and trials on fetal interventions for severe CHD (e.g., treatments for fetal arrhythmias and severe aortic valve stenosis) have continued to be conducted and steadily implemented. Conversely, there have yet been no reports in Japan on the administration of nonsteroidal anti-inflammatory drugs for Ebstein disease with circular shunt, which can advance in the near future. There are ethical issues surrounding maternal and fetal health and the medical insurance system that need to be addressed through multidisciplinary collaboration. Nonetheless, we expect our fetal cardiac interventions and therapies to be able to match international standards.
デキサメタゾンを経口投与したとき、母体:胎児血濃度比は 1:1 である 16)、17 ..
今回の執筆の機会を与えてくださいました日本胎児心臓病学会の稲村 昇先生,吉松 淳先生,アドバイスをいただきました国立成育医療研究センターの小野 博先生,日本小児循環器学会雑誌編集委員長高橋 健先生,同僚の先生方,チーム診療を支えるコメディカルの皆様,Figureを描いていただいた信濃八太郎さんにこの場を借りてお礼を述べさせていただきます.
妊娠高血圧症候群合併母体に対する出生前ステロイド投与は、 新生児死亡、 RDS、IVH を有意
12) 堀田義太郎,櫻井浩子:母体胎児外科手術の倫理問題.生命倫理2010; 20: 140–148
[PDF] 妊娠中の薬剤のリスクについては以下の表を参考にしてください。
13) 掛江直子:胎児治療における倫理的問題.産科と婦人科2018; 9: 1019–1024
胎児毒性とは:胎児の発育や機能に悪影響を与えること。 禁忌:使用してはいけないこと。 薬 剤
23) 和田芳直,和栗雅子,宮野 章,ほか:母体の抗Ro/SSA抗体による胎児心房室ブロックのリスク評価と予防 続報:抗Ro52kDa/60 kDa抗体に関する分画定量検査法の比較.大阪母子医療センター雑誌2019; 34: 31–36
し、その後の 3H-デキサメタゾンパルミチン酸エステル及びその代謝物の胎児、胎盤への ..
実質上,一択である.デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとベタメタゾンリン酸エステルナトリウムの明らかな優位性は示されておらず,現状ではデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムをあえて適応外使用する必要性はない.
対しては 1mg/kg(デキサメタゾン換算)であった。胎児への影響と
We included all identified published and unpublished randomised controlled trials or quasi‐randomised controlled trials comparing any two corticosteroids (dexamethasone or betamethasone or any other corticosteroid that can cross the placenta), comparing different dose regimens (including frequency and timing of administration) in women at risk of preterm birth. We planned to exclude cross‐over trials and cluster‐randomised trials. We planned to include studies published as abstracts only along with studies published as full‐text manuscripts.
していないヒト胎児腎由来の HEK293 細胞を 5-aza-dC で処理した結果、CES1A1 ..
At least two review authors independently assessed study eligibility, extracted data and assessed the risk of bias of included studies. Data were checked for accuracy. We assessed the certainty of the evidence using GRADE.