メシル酸ガレノキサシン水和物(ジェニナック)は、呼吸器感染症を治療するための抗菌薬です。 2024年12月16日
ニューキノロン系抗菌薬は、幅広い菌に対して強い殺菌作用があることが大きな特徴です。有効な抗菌薬が少ないとされる結核菌に対しても効果があります。
抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック
ニューキノロン系抗菌薬は、人工的に合成された薬のなかでも特に殺菌作用が強いとされる抗菌薬のひとつです。細菌のDNA複製に必要な酵素を阻害することで、細菌の増殖を抑制するのではなく、殺してしまう殺菌性抗菌薬になります。
内服薬や外用薬として多くの薬剤が市販されており、薬剤師であればそれぞれの特徴を理解しておきたいもの。ここでは日常診療で頻繁に見かけるニューキノロン系の内服薬であるジェニナックとクラビットの違いを見てみましょう。
・胃腸炎
:カンピロバクター、サルモネラ菌などが原因。前者はクラリスロマイシン、後者はホスホマイシンが効くが、「抗菌剤適正使用」の点から「軽症には抗菌剤不要」とされている。
・クラビット、ジェニナックなど(ニューキノロン系抗菌剤)のほとんど :動物実験で ..
他の抗菌薬による治療が奏効しなかった患者さんに対しても、本剤が選択されることがしばしばあります。耐性菌の種類や患者さんの病状に応じて、慎重に投与を決定していきます。
・膿痂疹、蜂窩織炎
:多くは黄色ブドウ球菌が原因。黄色ブドウ球菌はペニシリン系耐性が多いため、セファレキシン(第1世代セフェム系抗菌剤)が第一選択薬。外用薬(塗り薬)のうち、ゲンタマイシンは耐性(効かない)と言われている
第一選択薬はアモキシシリンまたはクラブラン酸カリウム・アモキシシリン
その後の改良によって、グラム陽性菌にも活性を持つニューキノロン系抗菌薬が登場し、幅広く臨床現場で使われるようになりました。主として処方されるニューキノロン系抗菌薬は、クラビットとジェニナックがあり、それぞれに特徴が異なります。
メシル酸ガレノキサシン水和物は、広域スペクトルを持つ新世代キノロン系抗菌薬として知られており、多剤耐性菌にも効果を示すことが特徴です。例えば、以下のような耐性菌に感染した患者さんも適応対象となります。
メシル酸ガレノキサシン水和物(ジェニナック) – 呼吸器治療薬
ジェニナックとクラビットの殺菌効果を比較した試験では、どちらの薬剤も好気性、通性 嫌気性のグラム陽性菌・陰性菌や偏性嫌気性菌のグラム陽性菌・陰性菌に対して有効で、幅広い抗菌スペクトルをもっていることが示されています。
いずれも肺炎の原因である肺炎球菌(グラム陽性菌)に効果があり、肺炎球菌への抗菌活性を持っているのは共通していますが、クラビットよりも、ジェニナックのほうが、よりグラム陽性球菌への活性が高いとされています。
抗菌薬の強さを判定するための数値である最小発育阻止濃度(MIC)での比較では、ジェニナックは、クラビットより少ない量でほとんどの菌に対して効果を発揮。クラビットに対して耐性ができている菌に対しても有効でした。
ガレノキサシン(ジェニナックR,GRNX)は急性鼻副鼻腔炎の主な起炎菌に対する強い抗菌活
メシル酸ガレノキサシン水和物は、呼吸器感染症の治療に主として使用される抗菌薬です。急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器疾患の急性増悪などに悩まされる患者さんが、この薬剤の主な対象となります。
<適応症>咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む),急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染,中耳炎,副鼻腔炎。
細菌感染は体のいたるところで起こります。抗菌薬が効果を発揮するためには菌に対する強さに加えて、どの組織に移行して働くかも重要なポイントです。ジェニナックとクラビットが効果を発揮する臓器について考えてみましょう。
• アモキシシリン・クラブラン酸:オーグメンチン250㎎錠 3錠 分3+サワシリン ..
ジェニナックの適応症は、咽頭・喉頭炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの呼吸器系疾患が主となっています。薬の体内分布をみると、副鼻腔粘膜、口蓋扁桃組織、中耳粘膜、肺実質、気管支粘膜には、血液中と同程度かそれ以上の濃度のジェニナックが移行しています。
クラビットの適応症は、皮膚疾患、呼吸器系疾患、泌尿器系疾患、消化器系疾患など幅広い疾患です。皮膚、唾液、口蓋扁桃、喀痰、前立腺、胆嚢、涙液、耳漏、上顎洞粘膜、女性性器へ高濃度の移行が見られます。
それぞれの薬の組織に対する移行性と抗菌作用の違いから、ジェニナックは呼吸器系疾患、クラビットは全身の感染症に効果がある薬剤として使用されています。
ジェニナック錠 200mg(一般名:メシル酸ガレノキサシン水和物)の活性本体である ..
・ファロム(ペネム系抗菌剤)
:重症(院内)感染のときの第一選択薬(上述「難治性細菌への抗菌剤」「切り札、伝家の宝刀的な薬」)。当院では、まず使う場面がありません。 (伝家の宝刀は抜かない、のがよいと考えます)
・アモキシシリン水和物/クラブラン酸カリウム(AMPC/CVA)経口(250mg /125mg ..
組織移行性以外にも、薬の排泄、代謝に関して違いが見られます。
クラビットは、主に腎臓から排泄される薬です。服用後24時間で服用した薬のうち約80%が尿中未変化体として排泄されます。腎臓から排泄される特徴を活かして、腎盂腎炎や膀胱炎に高い効果を発揮します。一方で、中等度腎障害から薬の量や間隔を調整する必要があります。
昇(32.5% : 2012年→38.0% : 2017年)している.とり
・クラビット、ジェニナックなど(ニューキノロン系抗菌剤)のほとんど
:動物実験で幼若動物に関節異常が認められたことから、小児(医薬品の年齢区分では「15歳未満」)は禁忌。トスフロキサシン(オゼックス)に限り小児適応あり。
[PDF] セフェムアレルギーと βラクタム系抗菌薬の使用(交差反応)
近年、抗菌薬の短期治療に関する研究が活発に行われており、興味深い結果が報告されています。
[PDF] 【金属含有薬剤と相互作用を起こすおそれのある薬剤】
ジェニナックは、腎排泄・肝臓代謝型薬剤です。服用後24時間で34%が尿中未変化体として排出され、投与7日後までに尿中から41.8%、便中から45.8%排泄されます。腎臓からの排泄は少ないものの、高度腎障害がある場合は薬の量を減らすことが推奨されています。
なぜ抗生物質は飲みきらないといけないのか? | フラワー薬局通信
例えば、喉の急性細菌性咽頭炎(ほとんど溶連菌が原因)と急性細菌性中耳炎(主に肺炎球菌、インフルエンザ菌が原因)は、どちらも抗菌剤アモキシシリン(当院はワイドシリン)が第一選択薬です。効果の関係から、前者と診断したら処方量を「体重あたり30mg/日」、後者でしたら「体重あたり40-50mg/日」と変えています。
ブドウ球菌をターゲットにアモキシシリンを処方することが多いです。入院が必要な方はセファゾリンです【外科系勤務医】
服薬指導には共通した注意事項があります。ジェニナックとクラビットはどちらも脳内に移行する薬として、中枢神経系副作用である意識障害、めまいが起こる可能性があるとされています。処方された患者さんには、車の運転、機械の操作に注意を促す必要があるでしょう。また、けいれんを誘発する可能性があるので、けいれん発作経験者やてんかん患者さんには誘発の危険性を説明しなければいけません。
まずは一部の代表的な医薬品をご紹介します。 抗生物質の種類, 系統名, 医薬品名
メシル酸ガレノキサシン水和物は、他の抗菌薬と同様に消化器系への副作用が比較的多く報告されています。患者さんの中には、服用後に胃腸の不快感を訴える方もいらっしゃいます。
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メシル酸ガレノキサシン水和物は、グラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広い細菌に対して効果を示します。とりわけ、呼吸器感染症の原因菌として重要な肺炎球菌やインフルエンザ菌に対して強い抗菌活性を持ちます。
アモキシシリンカプセル125mg「トーワ」 アモキシシリンカプセル250mg「トーワ ..
キノロン系抗菌薬の一種であるメシル酸ガレノキサシン水和物は、アレルギー反応を起こす可能性があります。まれに、重篤な症状に発展することもあるため、慎重な経過観察が欠かせません。
(表)ジェニナック、200mg、(裏)ジェニナック 200mg、抗菌剤
抗生物質によってそれぞれ効き方も違いますし、菌の種類や症状によっては同じ薬でも有効な回数や日数なども違ってきますので、用法用量を守って飲むようにしましょう。
ペニシリン系の内服薬にはつぎのような薬があります。 アモキシシリンビクシリン など
これらの症状が現れた場合、直ちに服用を中止し、速やかに医療機関を受診するよう患者さんに指導します。過去にキノロン系抗菌薬でアレルギー反応を経験した方には、使用を控えるべきでしょう。