セレスタミン配合錠の基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)


「」は、ステロイド剤と抗ヒスタミン剤という2種類の薬が混じったお薬です。アレルギー性鼻炎がひどい大人には使うことがあります。それも、どうしてもひどいときに、ワンポイントに使うのが原則です。2週間とか、1ヶ月といった長期間続けるべき薬ではありません。
「セレスタミン」に含まれているステロイドという成分には強い抗炎症作用がありますが、同時に強い副作用もあります。長期に使用した場合の主な副作用は次の通りです。
1 免疫力を落とす:病気にかかりやすくなります
2 ムーンフェイス(満月様顔貌):満月のようにまん丸い顔になります
3 肥満:食欲が異常に亢進し太ります
3 骨粗鬆症:骨がもろくなり、折れやすくなります
4 低身長:身長が伸びなくなります
5 糖尿病:糖尿病になりやすくなります


セレスタミン®は、正式名は「セレスタミン®配合錠」であり、副腎皮質ホルモン(ステロイド)と抗ヒスタミン薬とが一緒になった配合剤です。

当院でよく処方する抗アレルギー薬にはアレグラ、クラリチン、アレロック、エバステル、ジルテック、ザイザルなどがあります。 また、喘息などの症状が出る場合もあり、そのような非常に症状の強い患者様にはセレスタミンやリンデロンなどのステロイド薬を短期間のみ頓用で使用してもらうこともあります。
実際に花粉症である私が、薬を飲んだ印象をあげてみました。

さて、セレスタミンにはどんな種類のステロイドが含まれているのかというと、「ベタメタゾン(betamethasone)」です。このベタメタゾンは、ステロイドの中でどのような立ち位置にいるでしょうか。私たち医業者は、ステロイドの強さや効き目の目安(ステロイドの力価)として「プレドニゾロン(プレドニン)換算」ということをやります。プレドニゾロン(プレドニン®)は、生物学的半減期が12~36時間の中間作用型のステロイドであり、その適度な作用時間から用量調整がしやすく、外来診療では最も多く処方されるステロイドです。したがって、他の種類のステロイドがどれくらいの力価を持つのか?を知りたいときには、このプレドニゾロン換算というのをやるとイメージがつきやすいのです。下表()によると力価はプレドニゾロン:ベタメタゾン = 4 : 25~30 ですので、一般的なプレドニン錠5mgは、べタメタゾンだと0.75mgに相当します(海外の正書や論文等では、4:25という比率の記載が多く、プレドニン錠5mgは、5 × 4/25 ~ 0.8mgのべタメタゾンと同程度の力価となります)。逆に言えば、セレスタミン配合錠に含まれるべタメタゾンの量は添付文書によると0.25mgですので、これは、プレドニゾロン換算だと、ちょうど0.75mgの3分の1なので、プレドニン錠5mgの3分の1相当ということになります(5 × 1/3 ~ 1.7mgのプレドニン)。

当院でよく処方する抗アレルギー薬にはアレグラ、クラリチン、アレロック、エバステル、ジルテック、ザイザルなどがあります。 ..

花粉症の方にとっては憂鬱な季節となりました。2~5月にくしゃみ・鼻水や目の痒みで来院される方はほぼスギ花粉症であり、一部はヒノキの影響も加わって6月にかけても症状が続きます。当院では以前から軽度~中等度の症状の方には、眠気の少ないフェキソフェナジン(商品名アレグラ)を、天気によって症状が強くなる時にはステロイドが少量配合されたセレスタミン(商品名)を併用する方法をおすすめしていました。フェキソフェナジンでは効果がないという方には、やや眠気が強くなりますがオロパタジン(商品名アレロック)やタリオン(商品名)をお出しすることもありました。希望者には抗アレルギー作用がより強く逆に眠気もおきにくいザイザルを処方しますが、ジェネリックがないので値段が高いのが難点です。ピラノアやデザレックスなどの1日1回投与ですむ新しい薬も発売されています。目の痒みが強い場合には点眼薬も処方します。基本的には抗ヒスタミン薬の入ったザジテン点眼薬やリボスチン点眼薬・リザベン点眼薬を使いますが、小児では目にしみるという場合があり、小児にはケミカルメディエーター遊離抑制薬のインタール点眼薬またはパタノール点眼薬をお出しします。コンタクトを使っている方にはアレジオン点眼薬がおすすめです。内服で眠気が強い方はステロイド点鼻薬がおすすめであり、フルナーゼ点鼻液とアラミスト点鼻液が一般的ですし、フルナーゼには小児用もあります。鼻閉症状が強い方にはナゾネックス点鼻液が最も効果が高いようです。点鼻液が液垂れをおこして顔のお化粧がとれてしまうことを気にされる女性では、ご希望があればパウダースプレーの点鼻薬をお出しします。妊娠中の方では基本的には局所的作用のみの点眼薬・点鼻薬を使うことが中心となりますが、症状が強い場合に内服として小青竜湯という漢方も処方します。眠気が強くなるため内服薬を嫌い、点眼薬・点鼻薬の煩雑さを避けるために、注射を強く希望される方には、ステロイド薬の筋肉注射を臀部に行っています。また即効性はないのですが、花粉症の体質を変えるアレルゲン免疫療法も行っています。これはスギ花粉のエキスを毎日舌下する「舌下免疫療法」と言い、花粉症のシーズンに合わせて前年の秋から内服を開始します。今年のシーズンには間に合いませんが、来年は是非楽になりたいという方には今年の秋からの治療開始をおすすめします。花粉症の症状は花粉飛散が終われば症状もおさまってしまう一時期のものであり、花粉症としての診断的な苦労は何もありません。しかし、ダニ・イネ・動物上皮や、卵・果物などの食物にアレルギー反応をおこすような方では、ご希望があればスギの項目以外に、心配と思われる項目を加えて採血してアレルギーの原因を特定することは可能です。花粉症の治療だけでなく、診断についても細かいご希望があればご相談下さい。

図1に主な抗ヒスタミン薬のを示します。第1世代が50%以上の脳内H1受容体を遮断するのに対して、20%未満で非鎮静性とされます。赤い四角で囲ったものは第2世代と呼ばれるもので、すべて非鎮静性です。アレグラやアレジオンなどはOTC薬(市販薬)にもなっていて、ドラッグストアでも簡単に手に入るのでなじみが深いのではないでしょうか。

セレスタミン配合シロップ; セレスタミン配合錠 ; 製造販売元


セレスタミンは第一世代の抗ヒスタミン薬とステロイドの配合薬です(クロルフェラニンマレイン2mg(ポララミン)+ベタメタゾン0.25mg(リンデロン))。セレスタミン1錠にはプレドニン2.5mg相当のステロイドが含まれています。ステロイドは強力な抗炎症作用を有しており、様々な疾患の治療で使用されている重要な薬ですが、長期服用をすることで様々な合併症リスクが上昇するため、適切に内服する必要があります。
ーステロイドの合併症ー
□ 骨粗しょう症
□ 消化管出血
□ 白内障・緑内障 等
このような合併症リスクと、もともとの病気の治療効果を天秤にかけて慎重に投与すべき薬です。鼻炎の症状が強い場合に短期間で使用する分には良い薬ですが、長期間服用した場合には副作用のデメリットの方が大きいと考えられます。

なお、最初の方で述べましたが、セレスタミンを含むステロイドの内服薬というのは、理解して使えば非常に使い勝手の良い薬です。新型コロナウイルス感染症対策に関して、「正しく恐れる」ということが言われたりもしますが、ここで「正しく」というのは「相手をよく理解して」という意味合いです。相手を良く知らないとどう対処をするのが適切なのか分かりませんね。ステロイドも同様です。各種ステロイドの特性やリスクを踏まえた上で、患者さんの背景も踏まえ、正しく処方することが肝要です。これは私自身が肝に銘じておくことではありますが。

A. エピナスチン · B. エバスチン · C. ロラタジン · D. フェキソフェナジン · E. オロパタジン.

これらの薬剤の添付文書には「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」という記載があります。
ルパフィン(ルパタジン)
ザイザル(レボセチリジン)
ジルテック(セチリジン)
アレロック(オロパタジン)